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ウェブ連載版『最新判例にみるインターネット上の名誉毀損の理論と実務』 連載・読み物

ウェブ連載版『最新判例にみるインターネット上の名誉毀損の理論と実務』第25回

9月 08日, 2016 松尾剛行

 
(注1)最判昭和39年10月29日民集18巻8号1809頁
(注2)『消費者行政法』25〜28頁、天本哲史「行政による制裁的公表の処分性に関わる法的問題に対する研究」桃山法学20=21号(2013年)307頁以下参照。
(注3)例えば、原田大樹『例解行政法』(東京大学出版会、2013年)xvi参照。
(注4)東京高判平成25年11月27日判時2219号46頁
(注5)大阪高判平成16年2月19日訴月53巻2号205頁
(注6)東京高判平成15年5月21日判時1835号77頁
(注7)福岡高判平成23年2月3日判タ1372号101頁
(注8)松山地判平成22年4月14日判タ1334号83頁。なお、金崎剛志「被害者が一方的に暴行を受け死亡したにもかかわらず喧嘩による死亡との誤った警察発表により精神的苦痛を被ったという被害者遺族の国家賠償請求が認められた事例」自治研究87巻8号(2011年)137頁以下も参照。
(注9)「控訴人らの貝割れ大根の生産及び販売が、今もなお、当時の販売量を回復しない(控訴人らの主張)ことを考慮すると、控訴人らの怒りの程は察するにあまりあるが、当裁判所は、この判決において判断した以上の解決を見出すことはできない。控訴人らが突きつける怒りは、この訴訟を契機として、被控訴人において、非常時に遭遇してから対処するのではなく、将来の危機に備え、国民の利益をどのように調整し、確保するかについての技能を高める契機とすることによって解消されることを期待すべきものと考える。」
(注10)「さらに、仮に中間報告が公表されることなく、また最終報告が本件において行われたような態様での公表ではなく、最終報告書作成以後の時点において、被控訴人に対する配慮をも十分にして調査内容の公表の仕方や表現を慎重に考慮した上で適正にされた公表・・・であったとしても、被控訴人の販売が相当の打撃を受けたであろうことは想像に難くないということができる。」
(注11)「本判決により厚生大臣の公表に違法があると判断されることにより、大部分は回復される性質のものと認められ」
(注12)「現在はインターネット上で制裁的公表が行われることが多く、一度氏名等が公表されてしまうと、公表される者の名誉やプライバシーに対して測り知れないほどの回復しがたい損害が生じるおそれが大きい」とする、林晃大「制裁的公表に関する一考察」『芝池義一先生古稀記念行政法理論の探求』(有斐閣、2016年)265頁。
(注13)阿部泰隆『行政法再入門(上)』(信山社、2015年)100〜101頁参照。
(注14)平成25年10月31日一部改訂「生命身体事故等に係る消費者事故情報等の公表に関する基本要領」Ⅲ.2.
(注15)最判昭和39年10月29日民集18巻8号1809頁(大田区ゴミ処理場事件)
(注16)東京地決平成27年4月20日(平成27年(行ク)第70号)
(注17)例えば、「一定事項の情報を国民・住民一般に対して示すに止まる非権力的事実行為であり、当該行為の作用に具体的な法的効果は認められない」とする天本前掲論文287頁参照。
(注18)こちらは通常処分性があると解されている、『消費者行政法』61頁等参照。
(注19)例えば、雄川一郎ほか『行政強制』(有斐閣、1977年)114~116頁、畠山武道「サンクションの現代的形態」芦部信喜ほか編『岩波講座基本法学8 紛争』(岩波書店、1983年)385頁、稲葉馨ほか『行政法(Legal Questシリーズ)』(有斐閣、第3版、2015年)132頁等参照。
 
☆なお、本稿を作成するにあたって松尾とディスカッションや参考文献紹介をして下さった千葉大学横田明美准教授にはここに感謝の意を表させていただきたい。
 
 
[編集部より]第2クールから、本連載は毎月第2、第4木曜日の月2回更新になります。引き続き、お楽しみに。
 


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松尾剛行

About The Author

まつお・たかゆき 弁護士(第一東京弁護士会、60期)、ニューヨーク州弁護士、情報セキュリティスペシャリスト。平成18年、東京大学法学部卒業。平成19年、司法研修所修了、桃尾・松尾・難波法律事務所入所(今に至る)。平成25年、ハーバードロースクール卒業(LL.M.)。主な著書に、『最新判例にみるインターネット上の名誉毀損の理論と実務』(平成28年)、『金融機関における個人情報保護の実務』(共編著)(平成28年)、『クラウド情報管理の法律実務』(平成28年)、企業情報管理実務研究会編『Q&A企業の情報管理の実務』(共著)(平成20年)ほか。