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ベルクソン 反時代的哲学

藤田尚志

 ベルクソンについてはあまりにしばしば非合理主義ということが言われてきた。「硬直した理性がしなやかな理性以上のものであることを望む」この度し難い偏見を脇目に、ペギーはすでにこう断じていた。「そうではなく、最も緻密で最も厳しいのが、しなやかな方法であり、しなやかな論理、しなやかな道徳であることは明らかである」 。ここから次のような問いが生じてくる。ベルクソンにとってこの種の新たな論理の探究が重要であったのだとすれば、なぜ彼はそれをはっきりと定式化せず、明確に規定しなかったのか?それが可能でなかったのだとすれば、それはいかなる理由によるのか?
 ベルクソンは、大胆な小説家ですらも、日常生活の論理の「根本的な不条理性」を「明示する」ことはできず、ただその「驚くべき非論理的な本性」を「推し量らせる」ことしかできない、と述べていた 。この意味で、メジャーな概念は明示しようとし、マイナーな論理は示唆しようとするものである。ささやかではあるが、厳密なマイナーな論理というものが存在する。この点をさらに詳らかにせねばならないとすれば、そのために、言語、とりわけ隠喩(メタファー)・イメージ・形象の問題に、つまりはベルクソンの「文体(エクリチュール)」という決定的な問題に取り組まねばならないことは今や明らかである。
(「序論より」)

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掌の美術論 4月 25日, 2024 松井裕美

掌の美術論
第15回 キュビスムの楽器の奏でかた、キュビスムの葡萄の味わいかた

この春ヴェルサイユ宮殿で、19世紀に活躍したフランス人画家オラース・ヴェルネの展覧会が開催されていた。ヴェルネは、オリエンタリズムや歴史画を手がけたアカデミズムの画家として語られることの多い画家だ。しかしこの展覧会は、意外にもロマン主義と古典主義をつなぐような革新的潜在性を秘めた画家であったことを示す点で、実に発見の多い企画だった。

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連載・読み物 4月 22日, 2024 管啓次郎

コヨーテ歩き撮り#200

シアトルは雨の多い土地。夕方にはよく虹が見える。くっきりしたダブルレインボウを見ると、いいことがありそう。

Seattle is a rainy city. Often you see the rainbow when the sun is lower. Seeing a clear double rainbow like this one might bring you luck. I wish!

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連載・読み物 4月 08日, 2024 管啓次郎

コヨーテ歩き撮り#199

土地にはもともとの植生がある。開発によって失われてしまう。それがわからなくなったときのために原生種の種をタイムカプセルに入れて埋めておくというプロジェクト。いつ開けるのかな。この花の学名は「リンネ」の名前と「極地の」という形容詞から来ているのだろうけれど、どんな花だったか忘れた。

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憲法学の散歩道 4月 01日, 2024 長谷部恭男

憲法学の散歩道
第38回 ソクラテスの問答法について

 筆者はいわゆるロースクールに所属している。法曹養成を任務とするロースクールでは、ソクラティック・メソッドと呼ばれる問答を通じた教育が推奨されている。アメリカのロースクールでは、そうした教育方法がとられているらしいので、それを輸入しようということのようである。……

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連載・読み物 3月 25日, 2024 管啓次郎

コヨーテ歩き撮り#198

サーミの人々の主食はとなかいの肉。ブラッドプディングにはこけもものソースを添えます。茹でた舌、茹でた肉。骨髄は濃厚な味わいで体が温まります。

Reindeer meat is the staple food for the Saami. Blood pudding is served with lingonberry sauce. Boiled tongue and meat are eaten simply with salt and delicious. Bone marrow is very rich and warms you from inside.

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