1 0 めいのレッスン 4月 08日, 2016 小沼純一 めいのレッスン ~南の旅の ――笛がね、聞こえたんだ。 呼び鈴がなって、ドアをあけると、頬のあたりがすこし日焼けしたサイェは、何も言わずにわたしをみつめていた。そして大きな目をゆっくりと閉じ、またゆっくりと開くと、挨拶がわりのように、言うのだった。 続きを読む
0 0 めいのレッスン 4月 01日, 2016 小沼純一 めいのレッスン ~あかりみつめて 融けたロウが揺れている。 春、まだ肌寒さののこるころ、サイェはわたしの父の、つまりはサイェの祖父の命日にお寺に行って、何回忌かの法要に参加した。寺の庭には父がおくった河津桜が、枝にまだすこし残っていた。 続きを読む
0 0 めいのレッスン 3月 25日, 2016 小沼純一 めいのレッスン ~気にかかるゴーシュ めいのサイェは、毎日のように、学校の帰り、わたしのところに寄って、母親が迎えにくるまで、過ごしてゆく。 続きを読む
0 0 めいのレッスン 3月 18日, 2016 小沼純一 めいのレッスン ~クリスマス・ツリー ――クリスマス・ツリーがくるんだよ。 11月もそろそろ終わりのある日、サイェは、ふと、とくに目をあげるでもなく、言ったのだった。 続きを読む
0 0 めいのレッスン 3月 15日, 2016 小沼純一 めいのレッスン ~秋の庭 週に一、二度は実家に寄っている。 ひとりで住む母の様子を見がてら、頼まれたものを、ちょっとした手土産とともに買ってゆく。 続きを読む