ここで考えようとしているのは「フィクションはなぜ必要か」ということです。つまり、フィクションというもの一般が問題であり、作家論でも作品論でも、特定のメディアに関する表現論や歴史でもなく、物語の類型やその発展形を探るということでもありません。……
インターネットに代表されるこの20年の技術の進展は、生活環境を大幅に改変し、これまで以上にわれわれの身の回りは技術に「侵食」されつつあります。そうした状況では、一見するとフィクションが成立しにくくなっているように思われます。はたして、いま、フィクションは必要とされているのでしょうか。必要とされるのであれば、なぜ必要とされるのでしょうか。本連載では、この大きな問いに、SFアニメという軸を設けて深く考えていきます。2010年代の「フィクション論」はじまります。