(注1)東京高判平成27年8月20日
(注2)第一審は「原告がヤリマン(不特定多数の男性と積極的に性行為の関係を持つ女性)」であり、性行為をする相手を求めているから、電話をしたり、原告の勤務先に行って声をかける等して性行為を誘うことを勧める内容となっており」「原告の勤務先及びその閉店時間やおおまかな場所(略)原告が乗っている車の色、原告の身長、髪の長さ等の外見的特徴も記載されている。」等と認定している。
(注3)東京地判平成12年1月31日D1-Law28168443
(注4)なお、発信者情報開示事件のため慰謝料に関する判断はされていないものの、東京地判平成27年5月25日ウェストロー2015WLJPCA05258004・判例秘書L07030580は、「スカートの中みたい?」というツイート原告が不特定多数の者に対してインターネット上で自己のわいせつな写真を見たいかと尋ねた等と誤解を招き少なくとも原告の名誉権を侵害するとした。
(注5)Bは計143万円を取れるところ、このうちの132万円はA1とA2が連帯して支払うべきという趣旨。
(注6)実際には、A2の夫が回線の名義人であり、発信者開示請求に関する弁護士費用だけではなく、名義人に対する訴訟に関する弁護士費用も損害として認められています。
(注7)計770万円を取れるが、550万円部分はA1とA2が連帯して支払うべきという趣旨。
(注8)「反復継続して行われることにより、先行して行われた投稿行為がより強固な意味を持つことになり、先行行為と後行行為が相互に強め合い、強固な連鎖を形成していく関係にある」として最初に行われた投稿以降の遅延損害金を認めた。
(注9)投稿は「検索が容易で性的欲望の強い者や好奇心の強い者を引き寄せる内容であり、不快な出来事や性犯罪を誘発させる明白かつ現在の危険がある極めて悪質なものであり、これにより控訴人は心身が明白かつ現在の危険にさらされ、本件投稿行為に起因する著しく不快な行為により実際の生活にも多大な支障を来したことが認められる。」「インターネットの掲示板へ書き込まれた内務について完全な被害の回復は困難であって、控訴人は、本件投稿行為から約(略)年たっても職場など控訴人の周囲で不審な出来事が発生するたびに本件投稿行為との関係を疑い、不安感を抱くなどの多大な精神的苦痛を受け続けていることが認められる。」等と判示している。
(注10)上記の800万円以上の損害賠償に加え、A1につき220万円、A2につき165万円(うち165万円の限度で連帯)。
(注11)これまでの裁判例において、インターネット上の名誉毀損による(一般人の)社会的評価の低下についての慰謝料としてはこの程度から100万円程度を認めるものが比較的多いことにつき、『最新判例に見るインターネット上の名誉毀損の理論と実務』284頁参照。
次回更新、2017年1月12日(木)予定。
松尾剛行著『最新判例にみるインターネット上の名誉毀損の理論と実務』
時に激しく対立する「名誉毀損」と「表現の自由」。どこまでがセーフでどこからがアウトなのか、2008年以降の膨大な裁判例を収集・分類・分析したうえで、実務での判断基準、メディア媒体毎の特徴、法律上の要件、紛争類型毎の相違等を、想定事例に落とし込んで、わかりやすく解説する。
書誌情報 → http://www.keisoshobo.co.jp/book/b214996.html