連載・読み物

法+女性=変革! 『レイディ・ジャスティス』の舞台裏
第4回 指名承認公聴会とは

『レイディ・ジャスティス』もそうだが、アメリカの政治や社会を扱う本には指名承認公聴会の話がよく出てくる。指名承認公聴会は、後述のとおり手続きとしてももちろん重要なのだが、のちに繰り返し引用されるような重大な発言がされたり、それまで知られていなかった事実が明らかにされたり、ドラマのような展開があったりして、情報源としても歴史上の出来事としてもなかなかおもしろいのである。…

コヨーテ歩き撮り#209

ジャワ島の伝統的影絵芝居といえばワヤン・クリ。人形はきれいに彩色されて、芝居はスクリーンの前で上映される。表から見ればカラフルな世界、裏から見ると影絵。王族たちは表に、庶民は裏に。 Wayang klit is the traditional puppet theater in Java. Flat puppets such as this one is used. Puppets are beautifully colored and the performance takes place in front of a screen. Seen from the recto the world is colorful and from the verso it is all shadows. The sultan and his entourage see the former, the commoners the latter.

掌の美術論 第19回
顔に触れる――彼女たちの仮面を介して(前編)

好きな仮面を好きな時にかぶることができれば、とても楽だ。それは本当の感情を隠し、演じられた人格(ペルソナ)のみを人々に見せる。だが仮面が剥がれなくなってしまうことほど恐ろしいものはない。なぜなら人は、「自分とは誰か」ということを確認するとき、人の目に映った自分の姿について問わずにはいられないからだ。……

By |2024-08-28T15:00:38+09:002024/9/2|連載・読み物, 掌の美術論|

夢をかなえるための『アントレプレナーシップ』入門
㉙地域活性化とアントレプレナーシップ(2)

一言で地域活性化と言っても、企業と違い地域にはさまざまな利害関係者が存在し、その調整に大きなコストがかかります。地域においてはアントレプレナーが果たす役割も多様で、様々な活動が求められます。今回は地域と企業の相違点に焦点を合わせて、地域活性化におけるアントレプレナーの役割について触れていきます。

法+女性=変革! 『レイディ・ジャスティス』の舞台裏
第3回 司法女子パワーのポッドキャスト

本書『レイディ・ジャスティス』の著者ダリア・リスウィックは弁護士資格を持つジャーナリストである。「訳者あとがき」にも書いたとおり、リスウィックはスタンフォード・ロースクール修了後、連邦の控訴裁判所で裁判官の調査官を務めた。その後はしばらくローファームで働いたが、1999年にオンライン雑誌『スレート(Slate)』でマイクロソフト独占禁止法違反訴訟を取材する機会を得たのが転機となり、以後はローヤーとしての知識を活かし、同誌で連邦最高裁判所などの動向や法に関する記事を書いているほか、テレビのニュース番組にも解説者として出演している。

憲法学の散歩道
第40回 エウチュプロン──敬虔について

 プラトンの対話篇の一つに「エウチュプロン」がある。さほど有名な対話篇とは言えないであろう。登場人物はソクラテスとエウチュプロンの二人だけ、エウチュプロンは若い預言者である。扱われているテーマは、敬虔(eusebeia; piety)とは何かであるが、確たる結論にいたることもなく、二人の対話は唐突に終わる。  対話の表面的な流れは、次の通りである。……

法+女性=変革! 『レイディ・ジャスティス』の舞台裏
第2回 憧れのローヤーたち

アメリカのロースクールに行くことに決めた時点では、ロースクールを出て弁護士資格を取得してから何をするのかは漠然としか考えていなかった。人権や環境の問題に取り組む国際機関で働きたいとは思っていたけれど、当時はインターネットが今のように発達していなかったし、どういう組織があってどうやったらそこに入れるかを調べようにも、日本にいながらではごく基本的なこと以上は調べようがなかった。ただ、そういうことに関心があるなら国際機関が多く集まるワシントンDCにあるロースクールに行くといいよ、と知人が助言してくれたのを信じて、DCにあるロースクールに行く手続きをしていた。

掌の美術論 第18回
おもちゃのユートピア——その理論と実践の系譜(後編)

芸術家の作品や著述を振り返ってみると、20世紀美術と聖性の関わりを示す例には事欠かない。ナビ派やスーラの理論、あるいはヒルマ・アフ・クリントやクプカの抽象画における神秘主義。カンディンスキーが描く黙示録。マレーヴィチの絶対主義絵画に秘められた東方キリスト教の聖画像の記憶。モーリス・ドニが推進した「聖なる芸術」運動。第一次世界大戦で荒廃した大地を出発点としながら、ウィリアム・ブレイクの描く天地創造のイメージを介して1920年代に聖書の創世記を版画化し、30年代には線と球体の構築物で支配された月面旅行の場面を描いたポール・ナッシュ。第一次世界大戦を契機にキリスト教信仰に目覚め、第二次世界大戦後には教会装飾も手がけたキュビスムの画家アルベール・グレーズ。自然と人間との秘義的な融合を思い描いたシュルレアリスムの画家アンドレ・マッソン。カトリックの聖変化の儀礼や薔薇十字団の教えを、自らが開発したクライン・ブルーの顔料を用いてパロディー化したイヴ・タンギー。原始的な祝祭や儀礼を思わせる過激なパフォーマンスを展開し女性の身体性について問うたシンディ・シャーマン。以上はすべてこれまで論じられてきたことであるし、そのうちのいくつかについては私のこれまでの論考の中でも紹介してきたことなので、ここでは詳しく触れまい。実際このテーマに関わる作家は無尽蔵におり、その名をリスト化しようとしても終わりはなく、美術史研究が進めばリストはますます長大になるだろう。

By |2024-07-23T09:21:47+09:002024/7/25|連載・読み物, 掌の美術論|
Go to Top