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大垣尚司 著
『金融と法 Ⅱ デリバティブ・金融工学』
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はじめに
†0.1 本書の位置付け 本書は、現代ファイナンスのほぼ全領域を基礎的なものから専門性の高いものへと体系化し、高度化の一途をたどる金融技術を理解するための基礎的な考え方や知識を解説すると同時に、そうした先端分野で、法律がどのような役割を果たしているのかを主として法技術の視点から明らかにすることを目的とした「金融と法」シリーズの第2 部にあたる。
†0.2 第1 部『企業ファイナンス入門』に引き続き、第2 部では先端金融技術のうち、主として市場リスク(投機的リスク)を対象にしたデリバティブとこれを支える金融工学や数理を説明した上で、企業財務とデリバティブの関わりについて周辺領域を含めてできるだけ幅広く説明し、最後にデリバティブの投資商品化という視点から仕組債を中心に説明し、第3 部で説明するストラクチャードファイナンスに繋げる。
†0.3 説明に当たっては、第1 部と同様、主として文科系学部を卒業して金融パーソンとなった者や企業の財務部門に配属された者、将来金融に関連した仕事に就きたいと考える学生諸君を念頭において、金融技術やこれを支える理論をできるだけ直感的にその本質を捉えることができるように心がけた。
†0.4本書の構成 筆者の世代が就職をした頃はまだデリバティブの黎明期であり、ある意味でデリバティブの歴史と共に、平易なものから高度なものに時間をかけて学んでいくことができた。ところが、最近の金融パーソンは就職した直後から、高度で完成度の高い商品や仕組みを取り扱うことになるので、ともかく目先の業務をこなすための知識が優先されてしまい、デリバティブの本質をじっくり学ぶ機会を持つことが難しい。また、デリバティブの実務書はスワップ、先物、オプションといった形態別、あるいは、為替、金利、株式、コモディティー等の原資産別に細分化されていて、その全体像を掴むことが難しい。そこで、第1 章では、各種のデリバティブを出来る限り網羅的にとりあげ、それぞれについて基礎的なところから歴史と共にときほぐして説明した。
†0.5 第2 章では、この分野について避けて通ることの出来ない、金融工学、数理に関して、相応の水準を維持しつつも、高度な数式の展開ではなく「手触り感のある」平易な計算例や図解により、高校(数II)程度までの数学の知識さえあれば充分に理解ができるように説明した。その上で、オプション理論のように高度な数学の概念がどうしても必要となる箇所については、筆者の能力の許す限りで最低限の解説を加えた。ただし、実務との関係では、数式を数式のまま扱うのではなく、それぞれを現実の金融取引になぞらえて理解することが重要である。また、数式で分かったつもりになっても、それをexcel 等、PC 上で実際に計算できないと意味がない。本書では、「数式の意味」をできるかぎり丁寧に説明すると同時に、PC を用いた具体的な計算の方法にもできるだけ言及した。
†0.6 第1 章・第2 章で、デリバティブについての基礎知識を身に付けたあとは、第3 章・第4 章において、企業のリスク管理、投資採算計算、新株予約権の資金調達や報酬・退職給付への活用について概説し、読者が「デリバティブが企業ファイナンスにどういう役割を果たしているのか」を立体的に学べるように配慮した。この部分は、従来のデリバティブの教科書や実務書にない最大の特徴といってよいのではないかと思う。。
第5 章では、ストラクチャードファイナンスを本格的に取り扱う第3 部への橋渡しとして、デリバティブを有価証券化することで投資商品化する仕組債について概観する。
†0.7理科系・IT 系読者の効用 このように本書は筆者も含めた文科系の読者を主として念頭に置いたものであるが、理科系に属する金融パーソンの中には、せっかく大学で高度な数理ファイナンスを専攻してもこれを実務に活かすための知識を欠く者が散見する。また、近時は情報技術の専門家が金融に主体的にかかわることが増えているが、そうしたいわゆる「IT 系」の読者にとっては、実務の細かい知識や専門的な数理よりは、IT を活用する前提となる金融技術の本質をつかむことが大切となる。本書は、こうした読者がこの領域を別の視点から理解するための入門書としても役立つであろう。
†0.8法律に関する記述について 法律に関する記述は、脱稿時点の日本法を前提にしているが、もともと、金融に関する法律は特別法、業法が多く、政省令や行政指導、自主規制が大きな役割を果たすため、書籍の情報を常に最新の状態に保つことは不可能に近いし、本書の目的とするところでもない。本書は、一般の法律書のように法律の内容や法解釈の内容を整理して提供・主張するのではなく、金融技術をholistic に記述する上で法、会計・税務、規制といったものがこれにどのような影響を与え、あるいは、金融技術の要素のひとつとして法技術がどのような働きをしているかを示すことに重点を置いている。これによって、法律が変わっても、そこを出発点として、自分自身で新たな金融技術やスキームを作り上げる力を身につけていただければと思う。
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†0.9 この領域では、長年にわたって池森俊文元みずほ第一フィナンシャルテクノロジー社長と赤堀次郎立命館大学教授に折に触れて貴重なご指導・ご助言をいただいた。また。私的事情で執筆が長期間中断し、再開したあとも他の仕事が忙しくなったことや、関連領域の法改正が頻繁に行われたことから、脱稿が大幅に遅れ、出版社の勁草書房、編集者の竹田康夫さんに多大な迷惑をかけた。本書が日の目をみるのは、この間、竹田さんが辛抱強く待ち、また、励ましてくださったおかげである。その他、ここまでお世話になった方の名前を挙げ出すと枚挙にいとまが無い。全ての皆さんに、深く感謝を申し上げたい。
本書を、筆者に大学に奉職するきっかけを与えてくださり、その後も態度不遜・勝手気ままの筆者をいつも暖かく見守ってくださった、恩人かつ大先輩の三木義一青山学院大学名誉教授に捧げる。
第1 章 総論
4.デリバティブの種類
(3)スワップ
(a)定義
†1.83 元になる現物の取引や、指数のほか当事者が定める一定の客観性のある任意の指標を参照して決定される金額の金銭を、相互に支払うことを約する契約をスワップ契約(swap contract)という。参照すべき指標は当事者間で交換すべき金額を決定するために十分な客観性があるものならなんでもよい。交換する金銭が等価かどうかは、それぞれの現在価値による。固定金利と変動金利を交換する金利スワップ、ならびに、企業等の信用悪化に連動した支払と、その期待値に相当する一定額の支払を交換するクレジットデフォルトスワップについては第1 部で簡単に説明したところである。Ⅰ†8-50 以下、Ⅰ†16-47 以下
†1.84 参照指標 スワップで参照する指標は、金利、為替、株価のような投機的リスクに属するもののほか、最近は純粋リスクに属する、信用リスク、天候(一定期間に晴雨天・降雪や日中の気温が一定以上になる日が何日あるか等)、自然災害(地震、風水害、竜巻等の一定期間における発生の有無・客観的な規模等)、事故率、死亡率・生存率等々を対象としたもの(広義のリスクデリバティブ)も普及している( †1.9)。要すれば、客観的に指数化しそれに見合う一定の金額計算が可能なら、公序良俗や強行法規に反しない限り、何でもスワップの対象とすることができ、あとはこれを「誰が取り扱うことができるか」という業法の問題が残るのみである。ただし、投機的リスクを参照指標とするものと、純粋リスクを参照指標とするものとでは、金融商品としての性質が大きく異なる。
†1.85 相対取引中心 取引所での取引が活発な先物と異なり、スワップは金融機関どうしや、金融機関と企業どうし(対顧スワップ)の相対取引が中心である。
(b)法形式
†1.86 定義からもわかるように、スワップの法形式は純粋デリバティブ契約そのものといってよい( †1.14)。この結果、金利スワップや為替関連のスワップといった典型的なスワップ以外に、スワップの法形式により実質的に先物やオプションの取引を行うことができる( †1.33)。スワップは金融機関や大手企業等比較的少数の主体の間で、継続的かつ頻繁に取引が行われる。このため、あらかじめ相互に基本的な権利義務や解約時の精算の方法、当事者の破綻時の処理等について定めた基本契約を締結しておき、個々の取引は基本的な条件のみを記載した書面や電子データを取り交わすかたちで行うことが多い。グローバルな取引については、デリバティブにかかる国際的な業界団体であるISDA(International Swap and Derivatives Association)のマスター契約(Master Agreement)が広く用いられている。マスター契約には基本的事項が定められ、これに、それぞれの当事者が個別に合意したスケジュール(Schedule)と呼ばれる追加合意を付加する。スワップ市場の参加者は、お互いに同様の取引を多数締結していることから、その中の誰かが破綻したときに、個々の取引ごとに債権・債務を認識するのはきわめて煩雑である。また、破綻時点のスワップの解約価値はその時点における支払と受取の正味現在価値だから正値のものもあれば負値のものもあるが、もし、有利なものは維持して不利なものだけ解約するといった“cherry picking(良いところ取り)”が許されると引当財産が害される。このため、個別取引の全てをマスター契約の下に置くとともに、同契約において破綻時における一括解約・一括清算ネッティングの規定を設けることでこうした問題に対処している。一括清算とわが国における倒産法との関係やその対応についてⅠ†15-33 以下、ISDA マスター契約について福島、植木1、植木2 参照。
(以下、本文つづく)
第2 章 理論価格と金融工学のつかみ
1.先物の価格決定
(1)出発点
例題10 米国から飼料となる穀物を大量に輸入している酪農業者Aは飼料の値段が上がりそうなので輸入元B と交渉して3 か月後の価格を今の時点で決めることにした。B にとって十分な利益を確保できる価格は、現時点で1 トンあたり100 万円である。3 か月後の先渡(先物)価格はいくらにすればよいか。
†2.2飼料の先渡価格 飼料価格が本当に上昇するかは誰にも分からないので、B が3 か月後に飼料価格の騰落の影響を受けずに一定価格でAに飼料を売るためには、現時点で飼料を確保しておくしかない。もし、B がAと契約すると同時に銀行から100 万円借りて穀物を1 トン100 万円で買い付けて倉庫に保管しておくことができるなら、B は金利負担分と倉庫代が追加的コストとなるから、これを100 万円に上乗せして3 か月後に支払ってもらえばB は今売るのと同じ利益を確保できる(実際にそういうことが可能かどうかはひとまずおいて、理念的に考える)。この追加的コストのことをキャリーコスト(carry cost)という。つまり、3 か月後の先渡(先物)価格は、現在の価格にキャリーコストを加えたものとすればよいことになる72)。
†2.3 これを数式で表してみよう。今、現時点の価格をP0、キャリーコストを年率で表したものをr、将来時点まで期間をT 日とし、コストは日割計算だとすれば、先物価格Pt は数式2 のように表される(なお、キャリーコストの中身については†2.10 以下で再論する)。
(2)株式先物の理論価格
例題11 数式2 と同じ考え方で、現在の株価がS0 である上場会社D 社の株式について、T 日後に満期を迎える株価先物の理論価格St を求めよ。なお、金利r、配当率q(いずれも年率)とする。
†2.4 飼料の例と同じに考えれば、T 日後にD 社の株式をリスク無しに売るには、今S0 を銀行から借り入れてD 社の株式を購入しておき、T 日後にその間の金利を上乗せした先物価格で引き渡せばよい。しかし、株式については、T 日間の間に配当収入q×T/365 があるので、その分だけ金利負担を軽減することができるから、正味のキャリーコストは(r−q)×T/365 となる。
†2.5 以上からすると、株式先物の理論価格F0 は、数式3 のように表すことができる。
(以下、本文つづく。脚注、数式とコラムは割愛しました。pdfファイルでご覧ください)
第3 章 企業とデリバティブ①
1.企業と金融リスク管理
(5)金利リスクの管理
†3.32 預金金融機関は収益と費用の双方が金利に連動しているので、市場金利の上下動にかかわらず正味利ざやの現在価値が一定に保たれるようにALM(assetliability management、資産負債の吻合管理、†2.20、Ⅰ†8-47)を行う必要がある。
これに対し、一般企業の事業収入は必ずしも金利に連動しないため、負債側にかかる調達金利の上昇がそのまま純益の低下につながる。一方、市場金利が下がれば純益が増えるはずだが(このため、不景気時に金利引下げ政策がとられる)、高金利時代に借り入れた資金が借り換えられないと金利低下のメリットを十分に享受することができない。逆に金利が低い時期に新規調達をするなら、借入期間をできるだけ長期にすれば低利調達のメリットを長く享受できる。このように、企業にとっての金利リスク管理は、主として①金利低下時の借換対応と、②短期借入れや変動金利建ての長期調達にかかる金利上昇リスクへの対応の2 つからなる。
(a)低利借換オプション
例題28 固定金利建ての借入金や社債については、期限前弁済による低利借換を自由に認めると貸主・投資家が得べかりし利益を失うため、これに見合う期限前弁済手数料( Ⅰ†7-33)や、コール・プロテクション条項( Ⅰ†10-51)が設けられている。そして、理論的に言えば、これらは期限前弁済により借主が享受する低利借換のメリットと同水準となるため、借換えをする意味がなくなってしまう。
では、借主が、期限前弁済による低利借換メリットを相応に確保すると同時に、貸主も損失を被らないようにするにはどうすればよいか。
†3.33 固定金利建ての借入れ・社債の現在価値は、割引率である市場金利が下がれば上昇するので、これを額面価格で期限前弁済できれば、差額にあたる経済的利益を享受することができる。しかし、借換えに応じれば貸主・投資家は機会損失を被ることになる。第1 部ではこれを貸手や投資家の逸失利益という観点からとらえて、機会損失に見合う期限前弁済手数料( Ⅰ†7-33)やコール・プロテクション条項( Ⅰ†10-51)を設けると説明した。
†3.34 しかし、設問のように、期限前弁済を、借主・発行体が「借入れや社債を借主が額面で償還・買戻しすることができる権利」ととらえれば、上記差額分のペイオフを有する借入れ・社債にかかるコールオプションと位置付けることができる( Column 30)。そして、コールオプションの価値は、すでに学んだ方法で理論的に計算できる( †2.69 以下)。そうすると、貸主・投資家が、何らかのかたちでコールオプション料相当をもらう代わりに借主・発行体にいつでも期限前弁済手数料なしで期限前弁済や額面償還をする権利を付与することが考えられる。
†3.35 具体的には、通常のオプション取引のように、当初にオプション料をもらうのではなく、金利に上乗せしてその現在価値がオプション料に等しくなるようにすることで、借主・発行体のコストを平準化することが多い185)。たとえば、元本1、期間M の借入金・社債を期限前弁済自由とするために必要な期首のオプション料をP、利ざやに織り込むべきオプション料をx、現在価値を求めるための割引率をr とすると、x は次のように求められる。
(以下、本文つづく。脚注、数式とコラムは割愛しました。pdfファイルでご覧ください)
第4 章 企業とデリバティブ②
Column 114 役員退職金の損金算入性 役員に対する退職給与は、退職の直前に支給した給与の額を基礎として、業務に従事した期間や職責に応じた倍率を乗ずる方法(功績倍率法)で支給金額が算定される場合には、過大な金額でない限りは支払う会社の法人税との関係で損金算入が認められる(法税34[2]・法人税基本通達9-2-27 の2)。これに対し、退職給与が株価や業績といった一定の指標に連動して決定するために、業績連動給与( †4.34 参照)となる場合には、賞与等と同じく業績連動給与の規制に従わない場合は損金算入が認められない(法税34[5])。
3.報酬と企業財務②:企業年金とPBO
(1)企業年金
†4.38 企業年金(corporate pension)は、企業が運営母体となり自らまたは対象となる従業員が少額を定期的に在籍期間にわたって拠出する掛金を長期間運用し、退職後から原則として終身で一定額を定期的に支払うという制度である。国民全員が受給する国民年金(1 階部分)や勤労者が追加的に受給する厚生年金(2階部分)にさらに上乗せされることから、俗に3 階部分とよばれる。このうち、企業が自ら運用に責任を持ち将来の給付額を保証するものを確定給付型(defined benefit plan)、給付額は運用実績に従い企業が一定額を保証しないものを(毎月の拠出額しか確定していないという意味で)確定拠出型(defined contribution)という。確定給付型については、一定部分を仮想の個人勘定とし、給付額の保証からはずして再評価率と呼ばれる仮想の利回りに給付を連動させるキャッシュバランスプランが認められている(確定給付令24[1]③)。さらに、2017 年には、将来の積立不足備えて掛金の一部をリスク対応として控除するリスク分担型企業年金が導入された。
(以下、本文つづく。脚注、数式は割愛しました。pdfファイルでご覧ください)
第5 章 仕組債:デリバティブの投資商品化
5.債券・定期預金+デリバティブ型仕組債
(1)意義
†5.23 普通債や定期預金のような確定金利型の主たる金融商品とデリバティブを組合せて、利払と元本償還額が一定の金融指標に連動するように仕組んだもの。多くの仕組債はこの種類に属する。指数としては、株価指数、為替レートが代表的である。連動するデリバティブは、先物、コール・プットオプションの他、組合せオプション、エキゾチックオプションも頻繁に使われる。リパッケージ債の場合、デリバティブはリスクヘッジのために用いられるのに対し、仕組債の場合、デリバティブのペイオフをそのまま仕組債のペイオフに反映させる。
(2)種類
†5.24 組合せのパターンは無限に考えられるが、イメージを持ってもらうために、いくつか代表的なものを例示しておく。
(a)先物との組合せ
†5.25 基本となる社債や定期預金に、額面と同額の株価指数や為替レートに連動する先物を一定の比率で購入するか売却することで、指標に元本償還額が連動する仕組債とするものである。先物のロングポジションと組み合わせる場合、指標が上がれば償還額が増え、下がれば減るブル型、ショートポジションと組み合わせれば、その反対のベア型となる。たとえば、日経平均先物のロングポジションを組み込んだ場合には、日経平均株価発行時と償還時の差を発行時で割った比率に額面額を乗じた金額を仕組債の償還額とすればよい。
†5.26 先物を組み込んだ仕組債のペイオフの形状は基本的に組み合わせたデリバティブのそれを、y=0 から平行にy=100(仕組債額面)まで移動させたものになる(図表71)。
(b)天国地獄債(ブル・ベアボンド)
†5.27 先物型の仕組債において、先物の組込比率を増やすことで投機性を強めたものを俗に天国・地獄債とかブル・ベア債と呼ぶ。たとえば、先物を社債額面の2 倍購入すれば、指標が1 単位情報するごとに、償還額はその2 倍増える。たとえば、定期預金100 に同額面の日経平均先物を2 単位組み合わせれば、株価が上昇すると償還額が通常の倍となる仕組債にすることができる(図表72)。
(以下、本文つづく。脚注、図表は割愛しました。pdfファイルでご覧ください)