あとがきたちよみ
『日本の分断はどこにあるのか――スマートニュース・メディア価値観全国調査から検証する』

About the Author: 勁草書房編集部

哲学・思想、社会学、法学、経済学、美学・芸術学、医療・福祉等、人文科学・社会科学分野を中心とした出版活動を行っています。
Published On: 2024/10/15

 
あとがき、はしがき、はじめに、おわりに、解説などのページをご紹介します。気軽にページをめくる感覚で、ぜひ本の雰囲気を感じてください。目次などの概要は「書誌情報」からもご覧いただけます。
 
 
池田謙一・前田幸男・山脇岳志 編著
『日本の分断はどこにあるのか スマートニュース・メディア価値観全国調査から検証する』

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まえがき
 
スマートニュース メディア研究所所長 山脇岳志
 
 近年の社会科学の大きなテーマに,「分断」や「分極化」がある。なぜ世界のあちこちで右派と左派,あるいは保守派とリベラル派の断絶が広がっているのか。分断が進んでいない国々では,なぜ広がらないのか。
 また,どのような課題(issue)が分断を促進しているのか。インターネット上で虚偽ニュースや陰謀論もあふれかえる中,マスメディアやソーシャルメディアへの接触は,社会全体の分断とどうかかわっているのか。
 政治学,社会心理学から認知科学にいたるまで,分断・分極化を追いかける研究者は多い。国によって社会の分断は非常に深刻な課題にもなっているが,課題に対処する上では,まず,それぞれの国において,分断がどのような形で進んでいるのか,状況を客観的に把握する必要がある。日本においても,一部には分断が進んでいるという見方があり,その実相について調査研究する必要性は高まっている。
 この本は,上記の大きな目的に沿って,2023 年に実施した「スマートニュース・メディア価値観全国調査(略称:SMPP 調査)」のデータを用いて,さまざまな角度から,日本の分断・分極化を探ろうと試みたものだ。
 
プロジェクトの原点と目的
 編者の一人である筆者が,こうした世論調査の必要性について漠然と考えたのは,2016 年ごろ,アメリカに住んでいたころに遡る。
 前職の朝日新聞記者時代,2000~2003 年と,2013~2017 年の2 度にわたりアメリカのワシントンD.C. に駐在した。初回の赴任時には同時多発テロ,二度目はドナルド・トランプ氏の大統領当選と,それぞれ世界に衝撃を与えた「大事件」があった。
 ただ,そうした事件以上に筆者にとってインパクトがあったのは,実は「10年のブランク」だったかもしれない。2 度の勤務の間は,アメリカに出張する機会すらほとんどなかった。そのため,10 年ぶりにアメリカ社会に触れたときの社会的分断の深刻化,そしてフェイクニュースの爆発的な広がりは,立ちすくむほどであった。
 2000 年の大統領選も,激しい選挙だった。僅差の戦いとなる中,フロリダ州の集計が混乱し,最後は最高裁の判断にもつれこんだ。だが,勝敗が決まったのち,勝者のジョージ・W・ブッシュ氏(共和党)と敗者のアル・ゴア氏(民主党)は,お互いを讃えあい,融和を呼びかける品格があった。共和党支持者からマスコミ不信の声を聞くことはあったが,大きなものではなかった。
 それが,2016 年の大統領選はどうだろう。トランプ氏は政治集会の度に,後方のジャーナリストたちの席を指差し,「彼らを見ろ」と聴衆をあおり,聴衆が「最も不誠実(dishonest)なやつらだ」と一斉に叫ぶのが「定番」となっていた。トランプ氏は主流メディアによる報道を「フェイクニュース」と呼び,メディアは「全くのクズ(absolute scum)」であり,「アメリカ国民の敵」であるとも言い放った。トランプ氏に熱狂する共和党支持者の間で,メディアへの信頼度はぐんぐんと下がっていった。
 トランプ支援集会では,支持者たちが,対立候補のヒラリー・クリントン氏について「あの女を(牢屋に)ぶちこめ!(Lock her up !)」と叫ぶ光景もよくみられた。クリントン氏は選挙戦の中で,トランプ支持者の半数は「嘆かわしい人(basket of deplorables)」と発言し,トランプ支持者の怒りは増幅された。
 筆者が直接取材した2000 年と2016 年のアメリカ大統領選挙はともに,一般投票の総得票数でまさった候補が敗れる珍しい選挙であった。ただ,同じ事象でも分断の激化と相手への中傷という点で,比較にならないほど後味が悪かったのが,2016 年の選挙であった。
 「分断の激化」という「皮膚感覚」を裏付けてくれたのは,ピュー・リサーチセンターなどの継続的な調査である。同センターは,政治的価値観について定点観測を続けており,それをみると,保守層(共和党支持層)とリベラル層(民主党支持層)の「分断」が,2010 年代に大きく広がっていた。保守とリベラルで,視聴・購読しているメディアが全く違うことも,同センターの調査から分かる。また,ギャラップ社の継続調査から,「メディア不信」の党派的な偏りも明らかになっている(第1 章で詳述する)。
 その後の経緯については「あとがき」に譲るが,2024 年のアメリカ大統領選挙を目前に控えたこの時期に,日本での分断とメディア研究を上梓できることになったのは,偶然以上のものを感じる。
 アメリカの分断の目撃は筆者個人の経験ではあるものの,この時代を生きる同時代の多くの市民が共有経験として多かれ少なかれ持っているものだろう。アメリカの激しい分断は,日本も含め,世界の広い地域で憂慮すべき事態として共有されている。
 そうしたアメリカの「分断の激化」の経験から,「日本の分断」はどうなっているのかと考えることもまた,筆者に限らず,日本の多くの読者に同意していただける感覚ではないだろうか。こうした同時代の共有経験を契機に,日本の現在の分断の位置づけを世論調査によって精査し,日本人はどのようなパターンの分断を経験しているのか,その分断には深刻な意味があるのか詳細に分析を進め,そして長期的な変化という視点でも今後の分断の変容を見据えようというのが本書の基本的な狙いである。
 
研究会の組織と調査の実施
 世論調査のための研究会が組成されたのは,2022 年2 月であった。調査の正式名称ならびにメンバーは以下の通りである。政治学,社会心理学,情報学,メディア研究など,さまざまな分野の学者・研究者に委嘱したことが一つの特徴である。

調査名称: スマートニュース・メディア価値観全国調査(SmartNews, Media, Politics, and Public Opinion Survey, 略称:SMPP 調査)
調査主体: スマートニュース・メディア価値観全国調査研究会(肩書きは2023 年末時点)

・共同座長(五十音順):
池田謙一  同志社大学社会学部メディア学科・同大学院 教授
前田幸男  東京大学大学院情報学環 教授
 
・研究メンバー(五十音順):
遠藤晶久  早稲田大学社会科学総合学術院 教授
大森翔子  法政大学社会学部メディア社会学科 専任講師
加藤小也香 スマートニュース メディア研究所 主任研究員
久保文明  防衛大学校 校長
小林哲郎  早稲田大学政治経済学術院 教授
笹原和俊  東京工業大学環境・社会理工学院イノベーション科学系 准教授
山脇岳志  スマートニュース メディア研究所 所長

 研究会メンバーには,具体的な調査分析ではなく,設問を作る上での視点にご協力いただいた方も含まれている。アメリカ政治学がご専門の久保文明・防衛大学校長には初期のミーティングに入っていただき,貴重な示唆をいただいた。
 前述のように,アメリカの分断経験が本調査のきっかけとはなったものの,当然のことながら,日本社会とアメリカ社会には,根本的な差異がある。これまでの日本で実施されてきた様々な調査結果も踏まえ,池田座長を中心に日本における「分断」についての仮説を立て,5 つの「分断軸」を設定して詳しく検討することにした。
 
本書成立の経緯と,今後10 年の展望
 本書は序章とそれに続く8 つの章で構成されるが,これが可能となった経緯と今後の展望を記して本文に続けたい。
 まず,研究会結成後,約1 年にわたる設問などの検討を経て,2023 年3 月に第1 回となるSMPP 調査を実施することができた。
 その調査結果について,2023 年9 月に日本社会心理学会と日本政治学会,2024 年2 月に計算社会科学会において,関係する分野の学者・研究者が発表を行った。
 2023 年11 月にはスマートニュース本社(東京都渋谷区)で,全体的な研究分析結果の発表会を行った。この場には,大手メディアなどから40 人以上が集まり,読売新聞,朝日新聞,日本経済新聞や,オンラインメディアなどに,様々な記事として取り上げられた。会場における質問の熱量の高さや,その後の弊研究所ウェブサイトへの資料請求の多さからも,日本の分断の姿やメディア接触についての関心の高さがうかがえた。
 また,2024 年1 月から2 月にかけて,ニューズウィーク日本版(オンライン)にて,調査を行った研究者たちが,7 回の連載の形で調査分析の概要を示した。
 そして,今回,本書において,より詳しく深い形で調査の分析結果を世に問うことができるのは,望外の喜びである。
 この種の調査は,1 回限りで終わると得られる知見に限界がある。このため,2 年ごとの10 年計画としている(10 年を超えて続くことを筆者は願っているが,スマートニュース社としてコミットしているのが10 年となる)。次回は2025 年1 月の実施を予定している。
 次回以降,そのときどきのトピックに応じて新規の設問は入れるつもりである。ただし,第1 回調査と同じ設問も繰り返すことによって,日本の人々の価値観の変容,メディア接触の長期的な変化を追いかけていきたいと考えている。
 
 
序章
 
池田謙一・前田幸男
 
 本書は,スマートニュース・メディア価値観全国調査研究会が実施した「メディア,政治,生活意識に関するアンケート」(SmartNews, Media, Politics, and Public Opinion Survey : 以下,SMPP 調査。2023 年3 月に第1 回調査を実施)のデータを用いて,日本における政治的・社会的分断の様相を多角的に,そして実証的に検討するものである。
 この調査はスマートニュース メディア研究所を事務局とする研究会によって企画・実施され,18 歳から79 歳までの有権者を対象に,郵送調査およびインターネット調査として実施された。郵送調査では日本リサーチセンターの全国7 万人登録の「トラストパネル」から地域・性別・年代による層化抽出により計画サンプル4,460 名を設定し,回収数は1,901 であった(回収率42.6%)。インターネット調査では楽天インサイトに委託し,その生活意識データパネル登録者に対して年齢・性別割付により2,000 の回答を得た。
 本書では郵送調査の分析結果を論文の主体とし,インターネット調査の分析結果を従とする。日本人の代表性あるサンプルという観点から,前者の代表性の方が高いと考えるからである。ただし,1)後者は前者の結果のロバストネスチェック,ないし再現性の検討に用いることがある。2)後者のデータは楽天インサイトのパネル登録者が別途回答している生活意識データを含み,本書第6 章ではその回答まで用いた分析を行うため,同章では後者のデータを主として用いる。
 研究会および本調査の主な目的は,「まえがき」に記したように,日本における政治的・社会的分断のパターンとその効果,およびそれが何をもたらしうるかを検討し,その上でメディア関連要因が分断の様態や効果に関与するかどうかを探求することにあった。
 
0.1 国・社会の分断軸の検討―「分断」のもつ多次元性を踏まえて
 
⑴ 分断の5 つの軸
 ここでいう政治的・社会的分断の軸は,本書で焦点とするテーマに関わる。その全体像を概観しよう。私たちは,アメリカ社会でしばしば論じられる保守とリベラルの分断というようなシンプルな分断軸が日本社会でも全面的に適用できるとは考えていない。より包括的に日本社会の分断の構造を的確に捉えるために,日本社会はアメリカと似ているというような前提を置かずに,可能な限り多角的な視点から市民の分断認識を測定し,日本ではいかなる分断が生じているのか探索的に鳥瞰図を作成できるように調査を設計した。次いでそれらの分断軸が政治意識・政治行動にもたらすインパクトを解析する方針をとった。私たちは次の5 つの分断軸を検討する。いずれも詳しくは続く各章で検討されていくものである。

分断軸1:イデオロギー
分断軸2:政治との距離
分断軸3:道徳的価値観
分断軸4:リーダーシップのスタイル
分断軸5:社会や政治の将来像

 分断軸の1,2,3 は市民の政治心理的判断の中に分断の認識があることを指す。
 分断軸1 は言うまでもなく,保守― リベラルのイデオロギー的な判断とそれによる対立によって生じる分断の軸である。伝統的な分断軸と言ってもよい。とりわけ20 世紀後半からは民主主義を掲げる多くの国家で,諸政党は保守(コンサバティブ)と革新(リベラル)あるいは政治的な左右の軸上に分布し,その線上で多くの市民は自己の支持する位置を認識し,政治的選択を行ってきた。日本においては現在でも,保守― リベラルの軸は多数の市民に理解されており,自己をその軸上で位置づけられない市民は3 割弱にとどまる(第4 章参照)。
 分断軸2 は,政治から距離を取る市民と政治により関与する市民との差で生じる分断を指す。名高いR・イングルハートの脱物質主義論(Inglehart 1977, 1990)は,豊かな社会で脱物質主義を強調するようになった市民が,自己実現を求めて政治により積極的に関与するようになる,と仮定していた。だが,わが国では自己実現を政治に対してではなく私生活に求める方向性が長らく観察されてきた。政治の現状をネガティブに判断してもストレートに政治の是正に向かい政治参加するとは限らず,政治からは距離を置く層が多く見られる。仕事の充実,家族や友人との満たされた時間,趣味への没頭などいずれも頻繁に見かけられる自己実現の形である。
 分断軸3 は,道徳的価値観による社会の分断を指す。社会の分断ということで,分断軸1 とともにアメリカで念頭に置かれている軸の1 つである。人々が生きる際のベーシックな価値観と政治的志向性との結びつきによる分断の軸であり,たとえば同性婚や人工妊娠中絶を巡る激しい党派的対立の根はここにある(笹原 2019)。日本でも類似した道徳的価値観による対立があるのか,検討が必要だろう。
 次の分断軸4 と5 は,軸1,2,3 と異なり,分断をもたらすモメントは回答者の外側の政治的環境にあり,市民がそれを認識することによって分断が生じる。軸4 は政治的アクターのリーダーシップのスタイルが生み出す乖離である。軸5 は政治制度のパフォーマンスに関する将来期待の乖離である。もう少し展開しよう。
 分断軸4 は,国や社会のリーダーシップのスタイルが市民の間の党派的対立を助長したり,あるいは対立を主導したりすることで分断による敵意の増大を促し,合意形成を困難にすることによってしばしば生じることを指す。市民の目から見れば,内集団(われわれ)/外集団(彼ら)の交流を妨げ,互いの理解への歩み寄りを拒み,相互の不信を促進する可能性を強めることにつながる。アメリカを例に取れば,ドナルド・トランプ前大統領の政治スタイルから容易に想像がつくだろう。
 分断軸5 は,国や社会の統治に対する市民の判断の乖離や分散を想定する。政府や政党に国や社会を統治していく期待はできるのか,統治の失敗によって国や社会のリスクは拡大するのか,といった認識の差異を巡る軸である。21世紀の現在の日本政治の将来像が明るいと思わない人は多く(第8 章参照),将来の統治に対するネガティブな認識が私たちをどこに導くのか,問われるべきだろう。こうした将来像の差異が,この国の民主的な統治度の認識や,統治に直接関わる政治的アクターの能力,そして実態としての分断の現状の認識によってどのように規定されているのか検討を進める。
 
⑵ 分断の社会的構造
 これまで5 つの分断軸を示したが,これらの軸は市民が政治状況を弁別する判断の軸であり,分断軸の1,2,3 は市民が判断をする基準としての軸,分断軸4 と5 は政治や社会環境の見せられ方,つまり対立を強調して見せられるのか,将来のコントロールの可能性をどう見せられるのかの軸,であった。
 一方,政治の世界そのものが実際にどんな形で分断された状態にあるかについて,別途測定される必要がある。それは一般の市民から見て,社会の中が集団間の対立によってどのように分断されているのか,という分断の現れ方の認識である。そして本書では,分断を認識する市民がいずれの立場に立ち,それが政治の評価や政治行動に結びつくのか,を検討していく。国の政治を一つの統合されるべき対象として捉えるとき,その中で分断が拡大し,対立や格差が明瞭となると統治の困難度は上昇することになるのか,また政治への関与や政治参加を抑制したり,あるいは促進したりするのかを分析することも本書の課題である。
 こうした現実世界の分断は,具体的にはしばしば念頭に置かれる経済格差だけにとどまらない。私たちは研究会の議論の結果として,次のような8 つの対立が生じている可能性を探索することとした。列挙すれば,世代間の対立,都市と地方の対立,男性と女性の対立,職業による利害の対立,日本で生まれた人と外国から移住してきた人の立場についての対立(移民に関する対立),経営者と労働者(勤労者)の対立,豊かな人と貧しい人の経済的対立,さらに政治的な保守とリベラルの対立について検討する。これらは,古典的な労使や貧富の対立,保守とリベラルに基づく党派的対立に加え,急速な社会の構造変化に対応した世代や都市と地方の対立,職業的な(おそらく多元的な)対立を含む。そしてインクルージョン(包摂)を重視し,社会への参加の平等,公正さ,相互的リスペクトを強調する社会的価値の変容に対応したジェンダーや民族的(ここでは移民に関する)対立までを,並列して検討するものとなっている。
 
⑶ メディア
 私たちは,今日政治を考える上で不可欠なソーシャルメディアの役割についても合わせて検証することを目指した。21 世紀に入って先進諸国で生じている政治的分断や分極化については,伝統的なマスメディアの衰退とソーシャルメディアの隆盛に起因しているというのは一般的な理解であろう。しかしながら,各国における政治とメディアの関係は,歴史的な経緯も異なり,それぞれの国で新聞やテレビが政治報道に果たしてきた役割は,歴史的文脈に依存する(Hallin & Mancini 2004)。
 日本の新聞は,減少しつつあるとは言え,今日でも国際的に見て発行部数は多い方である。また,公共放送(NHK)が報道において果たす役割も決して小さくない。一方,インターネットも20 世紀末から普及し,2023 年段階では18歳から49 歳までの個人利用率は100% に近く,50 歳代でも97%,60 歳台では90% を超える(総務省 2024)。今日では,インターネット上の情報流通抜きに,メディアと政治との関係を考えることは不可能である。少数のプラットフォームが国際的に優越的な地位を持つとは言え,プラットフォームあるいはソーシャルメディアの普及や利用形態は国により異なる。例えば,日本では2024 年現在Yahoo ! Japan がポータルサイトとして重要な位置を占め続けているが,その起源であるアメリカのYahoo ! は衰退している。また,特定のソーシャルメディア利用率も国によるバラツキが大きいだけではなく,同一国内でも世代による違いが顕著である。
 情報通信分野の調査を中心に,情報端末の普及や利用するソーシャルメディアについては個人レベルのデータが蓄積されている。しかし,伝統的なマスメディアだけではなくソーシャルメディアの利用について体系的に質問をすると同時に,それらと政治的イデオロギーや,政策態度,政治的リーダー等に対する評価,そして政治的分断との関連性との分析に利用可能なデータは少ないのが実態である。私たちは,メディアと政治との関係を体系的に検証するべく,マスメディアやソーシャルメディアの利用,並びに利用者がそれぞれのメディアに対して寄せる評価や信頼を明確に分析の俎上に載せることにした。
(以下、本文つづく。注は割愛しました)
 
 
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