めいのレッスン ~最終回
『めいのレッスン』の連載が途切れてしまってから、 しばらくあいだがあいてしまいました。 そのままにしておいたら、サイェが、 もう10年だよ、 と言うのです。
『めいのレッスン』の連載が途切れてしまってから、 しばらくあいだがあいてしまいました。 そのままにしておいたら、サイェが、 もう10年だよ、 と言うのです。
何がきっかけだったのだろう、マンガかアニメ、小説か映画、それともどこかで目にした姿やうごきからなのかもしれない、めいはサイェが何かと言えば「にゃあ語」をつかうようになったのだ。
「茎わさびがきざんでのっているおそばもおいしかったけど、 かねの音がね、よかった。
ときどき道路に雑誌や本が積みかさねてある。ゴミの収集日の朝だ。 モノがゴミになるのはいつからかな、とおもいながら、ゴミ袋を横目にみる。でも雑誌があるとついつい、立ちどまってしまう。
木からおなじように落ちても、秋や冬と、春とではちがう。春に落葉ということばはあまり耳にしないようにおもうけれど、実際にはよく落ちる。
さざんか さざんか さいたみち たきびだ たきびだ おちばたき 冬に掃き掃除をしていたとき、わたしが口ずさんでいたのは《たきび》だった。
実家の門扉をあけると、ひとところに、ずいぶんと葉が散っている。
目覚めたら、スマートフォンにメールが届いていた。サイェからだ。
いつまでも寒さがのこって衣替えがしきれずにいたから、さくらの季節だという気もあまりしていなかったのだけれど、すこし時間ができたからとサイェと散歩にでると、つぼみを見た記憶もないまま、もうかなり花が咲いていた。六分、七分、というところか。
門扉を開けて敷地に一歩はいると、ジンチョウゲのかおりだ。ほんの背丈ほどの扉なのに、外には洩れてこないのは不思議だと、いつもおもう。