カール・シュミット

憲法学の散歩道
第41回 グローバル立憲主義の可能性

 グローバル立憲主義がトレンディである。地球全体を立憲主義の諸原則によって規律される世界として捉えるべきだ、あるいはそうした世界の実現を目指すべきだとする議論である。気候変動、テロリズム、疫病の蔓延、大量の難民・移民等の問題は、各国の国境を超える広がりを見せており、超国家的な解決を必要とする。そうした解決を与える機構は、立憲主義の諸原則に沿って組織され、運営されるべきだというわけである。……

憲法学の散歩道
第34回 例外事態について決定する者

 カール・シュミットは『政治神学』の冒頭で、「主権者とは、例外事態(Ausnahmezustand)について決定する者である」と断言する。Ausnahmezustandは、非常事態と訳されることもある。  引き続いてシュミットは、主権概念は限界概念(Grenzbegriff)であるとする。限界概念とは、比喩的に言えば、遠近法の消失点である。われわれが暮らす、この世界だけが実在する世界だと思われている日常的な世界と、そんなものが存在するとは思ってもみなかった、尋常ではない外側の世界とを連絡する概念である。……

憲法学の散歩道
第12回 plenitudo potestatisについて

 テューダー朝のヘンリー8世は、イングランド国教会を創設したことで知られる。  彼は、兄アーサーの未亡人であったキャサリン・オヴ・アラゴンと結婚したが、男子に恵まれなかった。ヘンリーは、その原因が、聖書の禁ずる近親婚であるために神の怒りに触れたことにあると言い始め、ローマ教皇に婚姻の無効を宣言するよう求めた。……

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