比較不能

憲法学の散歩道
第29回 憲法学は科学か

 明治時代の日本は、ドイツから2つの憲法原理を輸入した。君主制原理と国家法人理論である。君主制原理は、天皇主権原理とも呼ばれる。ごく単純化して言うと、上杉慎吉が唱導したのは君主制原理であり、美濃部達吉が唱導したのは国家法人理論である。  君主制原理は、国家権力はもともとすべて、君主(天皇)が掌握しているとする。しかし、国家権力を君主が実際に行使する際は、君主が自ら定めた憲法(欽定憲法)にもとづいて行使する。大日本帝国憲法のもっとも核心的な条文である第4条は、次のように定める。……

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第14回 価値多元論の行方

 政治思想史家のアイザィア・バーリンは、価値多元論者として知られる。価値多元論(value pluralism)は、価値一元論(value monism)と対置される。  価値一元論は、いくつかの主張によって構成される。第一に、あらゆる道徳問題には、唯一の正解がある。第二に、正解へ行き着く途は発見可能である。第三に、すべての正解は相互に両立可能であり、ジグソーパズルのように、全体として整合する。……

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