『生物学の哲学入門』刊行記念ブックフェア
「哲学で探る生物学の世界」
11月 01日, 2016
勁草書房編集部
森元良太・田中泉吏著『生物学の哲学入門』刊行を記念して、書店フェア「哲学で探る生物学の世界」を2016年8月下旬から開催しています。フェア会場で配布したブックガイドを「けいそうビブリオフィル」で公開します。森元さんと田中さんによる選書コメントとあわせて、「生物学の哲学」から広がる世界をぜひご覧ください。[編集部]
2016年8月刊行!
森元良太・田中泉吏『生物学の哲学入門』
日本人筆者による初の「生物学の哲学」入門書。生物学を哲学的に学び、生物学を通じて哲学を学べる一石二鳥の最新版教科書。→〈書誌情報〉
定価:本体2,400円+税 2016年8月刊行
A5判上製228頁 ISBN978-4-326-10254-9
「生物学の哲学」は多くの人にとって聞きなれない分野だろう。しかし、その名前から明らかなのは、これが哲学の一分野だということである。哲学はおよそあらゆるものを考察の対象にし、対象ごとに異なる哲学分野が存在する。知識の哲学や心の哲学などがそうである。知識の哲学は知識を、心の哲学は心をそれぞれ対象としている。そして、生物学の哲学は生物学を考察の対象とする哲学分野である。ただし、生物学の哲学は「生物についての哲学」ではない。生物そのものを考察の対象とした哲学は古くからあるが、生物学の哲学ではあくまでも生物学という学問分野に主眼がおかれる。たとえば、遺伝子や種などの生物学で用いられる概念や、進化論や自然選択説(自然淘汰説)といった生物学の理論や仮説を考察の対象とする。そしてこれらの概念や理論の分析を通じて生物学がこの世界について何を語っているのかを明らかにすることや、異なる生物学分野のあいだの関係性について考察することなどが、生物学の哲学の課題に位置づけられる。興味関心が「生命とは何か」のような問題にある場合も、生物学の哲学者は生物学というレンズを通して生命を眺め、そうした問題に答えようとする。――『生物学の哲学入門』「序章」より
■■■「哲学で探る生物学の世界」ブックガイド■■■
[選書&紹介文]森元良太・田中泉吏

『進化論の射程 生物学の哲学入門』
エリオット・ソーバー/松本俊吉・網谷祐一・森元良太[訳](春秋社)

『セックス・アンド・デス 生物学の哲学への招待』キム・ステレルニー、ポール・E・グリフィス/太田紘史・大塚淳・田中泉吏ほか[訳](春秋社)

『入門 科学哲学 論文とディスカッション』
西脇与作[編著]源河亨・古賀聖人・田中泉吏ほか[著](慶應義塾大学出版会)

『科学哲学 なぜ科学が哲学の問題になるのか』(春秋社)
アレックス・ローゼンバーグ/東克明・森元良太・渡部鉄兵[訳]

『生命起源論の科学哲学 創発か、還元的説明か』クリストフ・マラテール/佐藤直樹[訳](みすず書房)

『ダーウィンの危険な思想 生命の意味と進化』ダニエル・C・デネット/山口泰司・大崎博・斎藤孝ほか[訳](青土社)

『偶然を飼いならす 統計学と第二次科学革命』イアン・ハッキング/石原英樹・重田園江[訳](木鐸社)

『利己的な遺伝子 増補新装版』
リチャード・ドーキンス/日高敏隆・岸由二ほか[訳](紀伊國屋書店)

『ワンダフル・ライフ バージェス頁岩と生物進化の物語』
スティーヴン・ジェイ・グールド/渡辺政隆[訳](ハヤカワ文庫)

『ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト 最新科学が明らかにする人体進化35億年の旅』
ニール・シュービン/垂水雄二[訳](ハヤカワ文庫)

『DNAから解き明かされる形づくりと進化の不思議』
Sean B. Carrollほか/上野直人・野地澄晴[監訳](羊土社)

『生態進化発生学 エコ‐エボ‐デボの夜明け』
スコット・F・ギルバート、デイビッド・イーペル/正木進三・竹田真木生・田中誠[訳](東海大学出版部)

『波紋と螺旋とフィボナッチ 数理の眼鏡でみえてくる生命の形の神秘』
近藤滋(学研メディカル秀潤社)

『失われてゆく、我々の内なる細菌』
マーティン・J・ブレイザー/山本太郎[訳](みすず書房)

『ウイルス・プラネット』カール・ジンマー/今西康子[訳](飛鳥新社)

『進化の弟子 ヒトは学んで人になった』
キム・ステレルニー/田中泉吏・中尾央・源河亨・菅原裕輝[訳](勁草書房)
■ブックガイドのpdfファイルはこちら→〈「哲学で探る生物学の世界」ブックガイドpdf〉