(注1)宇治市が管理する住民基本台帳のデータを使い、乳幼児検診システムの開発を行うことを民間業者に委託したところ、再々委託先のアルバイト従業員が21万件ものデータをコピーした上、名簿業者に販売し、同業者がさらに転売をしたことにつき、プライバシーの侵害に当たるとして市に慰謝料1万円、弁護士費用5000円の支払を命じた事案(最決平成14年7月11日判例地方自治265号10頁、大阪高判平成13年12月25日判例地方自治265号11頁、京都地判平成13年2月23日判例地方自治265号17頁参照)。
(注2)東京地判平成27年3月27日ウェストロー2015WLJPCA03278027も参照。
(注3)最決平成19年12月14日2007WLJPCA12146004で是認。原審大阪地判平成18年5月19日判タ1230号227頁。
(注4)なお、原審東京地判平成19年2月8日判タ1262号270頁。
(注5)最判平成15年9月12日民集57巻8号973頁の差戻審。
(注6)なお、そのほかに純粋な流出と異なる事例として松山地判平成15年10月2日判時1858号134頁や東京地判平成21年5月13日ウェストロー2009WLJPCA05138002も参照。
(注7)なお、東京地判平成25年3月28日判例秘書L06830285は過失事例であるが、センシティブな度合が高い乳がん治療の際の臨床写真であったことが考慮されていると思われる。
(注8)警察(警視庁の可能性が高いとされる)関係者が、USB等で持ち出しをして漏洩した可能性が指摘されている。
(注9)一部200万円の慰謝料と弁護士費用20万円の原告も存在する。
(注10)控訴審の福岡高判平成27年1月29日判時2251号57頁で減額。
(注11)TMI総合法律事務所編『IT・インターネットの法律相談』(青林書院、初版、2016年)503頁。
(注12)なお、NPO日本ネットワークセキュリティ協会セキュリティ被害調査ワーキンググループ「2013年情報セキュリティインシデントに関する調査報告書―個人情報漏えい編[第1.2版]」(2015年2月23日)(http://www.jnsa.org/result/incident/data/2013incident_survey_ver1.2.pdf)は、漏洩個人情報の価値、社会的責任度、事後対応の評価をベースに想定損害賠償額を算定するとされている。
(注13)松尾剛行『クラウド情報管理の法律実務』(弘文堂、初版、2016年)226頁以下参照。
(注14)なお、「営業損害算定実務」も参照。
(注15)「損害が生じたことが認められる場合において、損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨および証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる。」
松尾剛行著『最新判例にみるインターネット上の名誉毀損の理論と実務』
時に激しく対立する「名誉毀損」と「表現の自由」。どこまでがセーフでどこからがアウトなのか、2008年以降の膨大な裁判例を収集・分類・分析したうえで、実務での判断基準、メディア媒体毎の特徴、法律上の要件、紛争類型毎の相違等を、想定事例に落とし込んで、わかりやすく解説する。
書誌情報 → http://www.keisoshobo.co.jp/book/b214996.html