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三船恵美 著
『米中覇権競争と日本』
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はしがき
本書は、国際関係論の基礎的な概念を学ぼうとしようとしている大学生はもとより、現在の複雑な米中覇権競争の構図を理解するための入門書を手にしようとしている一般的な読者まで、幅広い読者を対象としています。
本書の企画にあたり、国際関係論の主要な領域の重要な概念や枠組みを体系的に学べるように工夫しました。広範で多様な国際関係を広く学ぶのではなく、日本にとって最も重要な2 つの国家─アメリカと中国─間の政治力学に的を絞ることで、基礎的な知識を押さえながら現実の国際関係のあり方について理解を深めていけるように構成しました。本書の全12 章を読み進め、アメリカと中国の複合的な戦略的競争の構図を理解していくことで、新聞を読んだりテレビニュースや政治討論番組を視聴したりする時に重要な構図を的確に理解しやすくなるよう、基本的なキーワードや国際法を盛り込みました。
また、本書の企画にあたり、クリティカル・シンキング(批判的思考)の導入にも使えるように工夫しました。クリティカル・シンキングとは、情報をやみくもに否定することではありません。結論を説明する根拠について、「本当にそうなのか?」と疑問を問い続け、最終的に自分自身で結論を判断する思考のことです。情報が溢れる時代に、あらゆる情報を無批判に受け入れるならば、間違った情報に混乱させられてしまいます。クリティカル・シンキングで分析する習慣が現代人には求められています。
例えば、一部のメディアは現在の米中関係を「新冷戦」と語っています。これをクリティカル・シンキングで考えてみましょう。
クリティカル・シンキングでは、まず、果たして現在の米中関係を「新冷戦」という前提で語ってもいいのか、と「新冷戦」という前提を疑い、適切なイシューを探してみる思考態度が求められます。冷静に米中関係を捉えようとするならば、例えばトーマス・クリステンセン(Thomas J. Christensen)をはじめとする数多の著名な国際政治学者達が説いているように、少なくとも以下の3 点において、米中の戦略的競争関係を「冷戦」と呼んでしまうことは早すぎることに気づくでしょう。第一に、米中のイデオロギー対立について、冷戦初期の国際共産主義運動と違い、中国共産党(中共)の指導者たちは中国の統治形態=「中国モデル」を輸出しようとしているわけではありません。現代の中共が訴えているのは、中共による独裁体制の正統性の主張です。中国は民主主義、人権の尊重、法の支配によって導かれるアメリカが主導するリベラルな国際秩序に異議を唱えていますが、それはイデオロギー対立による陣営の分断を導くものではありません。第二に、中国には頼りになる強力な同盟国がありません。中国がいくら富強大国として台頭しても、1 カ国だけでは反米ブロックは作れません。ましてや相手は多くの同盟を形成しているアメリカです。第三に、グローバリゼーションが進んだ現在ではグローバル市場を米中の商業圏で分断することはできません。アメリカの同盟国である日本もオーストラリアも韓国も中国を最大の貿易相手国としており、中国経済とのデカップリング(切り離し)は容易くありません。南シナ海で中国との領有権問題を抱えている東南アジア諸国でさえも、中国との経済相互依存関係からいずれかの経済陣営に属することを望んでいません。そして何よりも、アメリカも中国も複合的な相互依存関係にあり、現在のグローバル・バリュー・チェーンにおいて、米中経済のデカップリングは現実的な話ではありません。つまり、現時点での米中関係のあり方はまだ「新冷戦」と呼べるものではないと言えます。
それでは、現在の米中の競争関係をいかに捉えればいいのでしょうか? それが「本書の問い」です。そこで、本書は、アメリカと中国の国家間力学を中心とした関係を、両国間の主な論争的イシューに的を絞って考察していきます。
「新冷戦」という一部のメディアで繰り返される言葉を鵜呑みにせず、その前提を適切に疑っていくことで、それまで常識だと思っていた思考を覆し、新たな側面を発見していくことになります。そのような課題に取り組むための基礎的な枠組みを国際関係論や米中関係の初学者が理解しやすいように、本書は国際関係論の主要な理論、近年の米中関係のあゆみや論争的なイシューについて整理しています。
本書を通して読者の皆さんが国際関係論や米中関係の基本的な知見を増やし、米中競争関係の理解を深め、その面白さを解してくだされば、著者にとって大きな喜びです。
本書刊行の貴重な機会をくださった勁草書房の宮本詳三氏にたいへんお世話になり、心からの深謝を申し上げます。また、本書出版に携わってくださった勁草書房の皆様にも厚く感謝を申し上げます。
最後に、今年10 月に銀婚式を迎える夫・毅に感謝を捧げます。
2021 年8 月
著 者
第8 章 国際機関をめぐる米中攻防─国際機関は協力を実現させる制度的枠組みか?
本章で学ぶこと
アナーキーな国際社会において、主権国家に次いで重要な役割を果たしているアクターの一つが国際機関である。国際機関には、〈1〉国際機関における外交(「場」としての国際機関)と、〈2〉国際機関を通しての外交(一国だけではできない目的を国際社会で実現するための「手段」としての国際機関)の役割がある。大国が国際社会でパワーを獲得し、自国の利益を国際社会で実現するためには、「場」としての国際機関と「手段」としての国際機関の両面が重要となる。
本章では、第1 節で、国際制度や国際レジームの一部としての国際機関とその政治化について学ぶ。第2 節では、近年国際機関で影響力を拡大している中国がその地位を外交手段として利用している事例ならびに国際機関における主要ポストをめぐる米中攻防の事例について学ぶ。第3 節では、国際機関を通しての国際標準化戦略についてICAO とITU を事例に考える。
クイズです!
現在の国際社会─特に米中関係─を考えてみる時、X 女史とY 女史の主張では、どちらが正しいと言えるのであろうか? それはなぜであろうか?
(X 女史)「いくら国際関係の基本構造がアナーキー(無政府状態)だと言っても、国際レジームを発展させれば、国際協力を実現するための制度的枠組みになるんじゃないかしら」。
(Y 女史)「国際関係の基本構造って、アナーキー(無政府状態)でしょ。なら、国際レジームは、覇権の価値や利害を反映したもの、あるいは覇権によるガバナンスのための制度的枠組み、と言えるんじゃないかしら」。
第1節 国際機関と「グローバル・ガバナンス」
国際機関
現代の国際社会は、主権国家を中心として構成されている。グローバリゼーションが進み深化した現在であるからこそ、G ゼロ(リーダーなき世界)となりつつある現在の国際社会における主権国家の役割がいっそう重要になっている。それゆえに、国際社会においてさまざまな国家がグループを作ったり各種の国際機関を政治手段と化したりして、さまざまな活動を行っている。
諸国家の上に立つ中央権威が存在しないアナーキーな国際社会において、国際機関は、主要なアクターであると同時に、国際制度や国際レジームの一部として国際社会の重要な存在である。国際レジームとは、リアリストのクラズナー(Stephen D. Krasner)の定義によれば、「国際関係のある特定の領域においてアクターが収斂する一連の暗黙的・明示的な原則・規範・ルールおよび政策決定手続きの集合」のことである。ひとことで言い換えれば、「特定の問題領域におけるルールや規範の束」のことである。
国際機関が国際社会において19 世紀以降に誕生し20 世紀に発展してきたのは、諸国間に存在する「国際社会の共通利益の実現」を図るためであった。しかし、国際社会で「共通のルール」を作ることがすべての国家にとって利益となるとは限らない。「共通のルール」が作られることによって国益が損なわれてしまうことになる国家もあるからである。そこで、国際社会におけるルール作りにおいて自国の利害や役割を反映させようとする大国の活動が活発になっている。そのため、近年の国際機関では、米中の競争関係が顕著になっている。
リベラリストは国際機関を国際関係の主要なアクターとして扱うとともに、国際社会の制度や国際レジームの一部として扱う傾向がある。一方、リアリストは自国の国益を外交政策の中心に据えるので、国際機関というものを大国が自国の対外政策を正当化する「手段」や「場」として、また、一国だけでは達成できない政治的な目的を国際社会で実現するための「手段」や「場」としてみなす傾向が強い。(以下、本文つづく)
第9 章 サイバー空間をめぐる米中競争
本章で学ぶこと
仮想空間=サイバー空間には国境がない。しかし、サイバー空間における米中間の攻防は年々激しさを増している。サイバー空間をめぐる米中攻防において、パソコン等の個人のデバイスが大きな破壊力を持ち「兵器化」している。
本章では、まず第1 節でサイバー空間における脅威の動向やサイバー攻撃の手法についての基礎的な言葉を確認する。次に第2 節では、なぜ、サイバー空間での攻防が重要視されているのかを探るために、実際に火力兵器により衝突してしまうことが安全保障政策として失敗であること、また、「戦争における目的」と「戦争における目標」が異なるものであるという考え方を確認する。戦争に備える最大の目的は、戦争で戦わなくて済むようにすることである。続く第3 節で、「総体国家安全観」を提唱した中国の危機認識と、中国に対するアメリカの警戒感が米中対立の根底にあることを学ぶ。第4 節では、サイバー攻撃における7 つのフェーズでの攻撃構造を破壊・切断することで防御・先制処置しようとする考え方である「サイバー・キルチェーン」について整理し、アメリカ政府の中国企業への一連の制裁がその一環であることを確認する。
クイズです
ジョージ・オーウェル(George Orwell)の『1984』が描いた「オセアニア」「ユーラシア」「イースタシア」の3 つの超大国の終わりのない膠着状態は、現在の国際関係を考える上で示唆するものがあるでしょうか? 3 分前後(約750 字)で声に出して答えてみましょう。
第1節サイバー空間という「ケーブルの中の戦場」
IoT 時代のケーブルの中の攻防
現代社会に存在する多くの「モノ」にはセンサーなどの通信機器が取り付けられており、「モノのインターネット」(IoT)が急速に市場を拡大している。現在では、家電、事務機器、産業機器、医療機器、防犯機器、自動車などさまざまな「モノ」がインターネットに接続され、インターネット経由の相互情報交換によって、社会が動いている。
AI(人工知能)やIoT などのデジタル技術の活用によって、社会構造は劇的に変革している。IoT 時代の現在、もはや人間がデバイスに向かって入力したり何らかの行動を指示したりしなくとも、遠隔操作や事前操作によってオペレーションが可能になっている。人間が操作しなくとも、「モノ」が情報を感知し解析する。AI を活用すれば、さまざまな手法で収集された膨大なデータをAI が解析する。このような時代において、IoT をねらう脅威は民間の詐欺レベルから大国の情報機関による国家安全保障レベルに至るまで多岐にわたっている。
「サイバー空間」という通信ケーブルの中の仮想空間
サイバー空間(電脳空間)は、インターネットが形成する情報空間である。空間と言っても仮想空間のことであり、通信ケーブルの中の物理的な世界のことである。近年の国際政治では、「インターネットが形成する情報空間」に関連した、「サイバーセキュリティ」「サイバーテロ」「サイバー攻撃」といった言葉を頻繁に耳にしたり目にしたりする。cyber は「コンピュータ・ネットワークの」「コンピュータ・ネットワークを利用した」という意味の形容詞で、「サイバー空間」とはcybernetics とspace の合成語である。
国際社会の競争や戦争(の準備)では、情報収集の優劣が勝敗因を握っている。そうした情報が存在するのは、サーバーなどの記憶装置や通信ケーブルの中である。サイバー空間における各国の活動は、①情報収集、②情報盗取、③サイバー攻撃(政治的・社会的混乱を目的に行われるものは「サイバーテロ」(以下、本文つづく)
第10 章 宇宙をめぐる米中覇権競争
本章で学ぶこと
軍事だけでなく経済や社会における宇宙利用が活発な現在では、小型衛星や宇宙旅行ビジネス等、民間主導の宇宙開発時代が到来したとも言われている。それは同時に、衛星攻撃兵器で他国の衛星を打ち落としたり破壊したりする能力が安全保障における優位性の確保に繋がるということでもある。そこで、宇宙を「戦闘領域」や「作戦領域」と位置づける動きが広がっている。
本章では、宇宙をめぐる国際関係の基本的なキーワードを確認しながら、宇宙における米中競争の構図について学んでいく。まず第1 節で、宇宙空間をめぐる国際条約と宇宙活動をめぐる国連の基本的な原則を確認する。次の第2 節で、月と火星の探査をめぐる米中競争の基本的な構図を理解する。続く第3 節では、「宇宙強国」をめざす中国の近年の動向を概観し、それがアメリカや日本の脅威となっていることを学ぶ。
重要キーワード
宇宙をめぐる米中国際関係が論じられている報告書を読む際の頻出キーワードを覚えましょう。
①CS(Communications Satellite:通信衛星)
②ISR(Intelligence, Surveillance and Reconnaissance:情報・監視・偵察)
③PNT(Positining, Navigation, and Timing:測位、ナビゲーション、タイミング)
④C2(Command and Control:指揮・統制)
⑤DEW(Directed-energy Weapon:指向性エネルギー兵器)
⑥EW(Electronic Warfare:電子戦)
⑦Antisatellite(ASAT) Weapon(対衛星兵器/衛星攻撃兵器)
⑧SSA(Space Situational Awareness:宇宙状況監視)
クイズです
なぜ、「宇宙空間の安定的利用の確保」が求められているのでしょうか?
「宇宙ゴミ(デブリ)」「対衛星兵器(ASAT)」「宇宙監視状況(SSA)」の3 つのことばを必ず用いて、500~750 字前後(口頭で2~3 分前後)で説明してみよう。
《ヒント》 「モノのインターネット(Internet of Things:IoT)」の発達した現在、情報収集、通信、測位等のための人工衛星の活用は領域横断で不可欠である。しかしその一方で、宇宙ゴミ(スペースデブリ)の急速な増加や対衛星兵器(ASAT)関連技術の進展に伴い、宇宙空間の安定的利用に対する脅威が増大している。そこで、デブリや不審な衛星等から防護し、宇宙空間の安定的利用を確保するための宇宙状況監視(SSA)体制の構築、宇宙を活用した各種能力の向上等、平時から有事までのあらゆる段階において宇宙・サイバー・電磁波の能力の獲得と強化に取り組むことが求められている。また、日本の同盟国であるアメリカをはじめ、関係国との連携強化が求められている。
第1節 宇宙空間をめぐる国際法と宇宙活動についての国連の基本原則
宇宙条約と宇宙関連4 条約
1957 年10 月4 日、世界初の人工衛星スプートニク1 号の打ち上げに成功したソ連に先を越されたアメリカが手間どっているうちに、ソ連はスプートニク2 号に犬と半トンの重量を載せ、宇宙空間からの生還を成功させた。また、スプートニク3 号は、1.5 トンの重量を載せた大型ロケットであった。それは、ソ連が核兵器を搭載した大陸間弾道ミサイル(ICBM)をアメリカへ飛ばせることを意味した(「スプートニク・ショック」)。スプートニクに衝撃を受けたアメリカは、1958 年1 月31 日、アメリカ初の人工衛星エクスプローラ1 号の打ち上げを成功させた。
冷戦期の宇宙空間をめぐる米ソ競争の火蓋が切られると、1959 年、国連は常設委員会として「宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)」を設置した。(以下、本文つづく)
第11 章 海洋で「膨張する中国」とアメリカ・日本
本章で学ぶこと
2021 年2 月1 日、中華人民共和国政府は中国の海警局に武器使用権限を与えるという国際法 や国際慣行と相容れない海警法を施行した。また、日本の外務省は、中国による海洋進出について「安全保障上の強い懸念」と危機感を同年の『外交青書』で示した上で、沖縄県尖閣諸島周辺で中国海警局の船が領海侵入を繰り返していることを「国際法違反」と初めて明記した。一方の中国は中国の軍事力をグローバルな国益の保護に活用するため、「遠海防衛」を展開し始めている。
このような現状を理解していくための基礎的な概念やルールや枠組みについて、本章では以下の構成で学んでいく。まず第1 節で、国家の3 要素、権原、領域、接続水域、排他的経済水域(EEZ)、大陸棚、無害通航権、島の権利を確認する。次の第2 節では、「海洋強国」を目指している大陸国家の中国が「自ら主張する海域を中国の管轄海域」と称して展開している「法律戦」と構造改革について理解する。第3 節では、北極圏と南極圏における開発に積極的に進出しようとねらう中国の意図と、それによる日本への影響を考える。
第1節海洋法と国家の権利
「国家」であるための要件とは?
国家として認められるためには、国家の3 要素(領域と国民と主権)を必要とする。主権は対内的には排他的な統治権、対外的には独立した外交権を意味する。1933 年の米州の「国の権利及び義務に関する条約」(モンテビデオ条約)第1 条では、国家の資格として、①永久的住民、②明確な領域、③政府、④他国との関係を持つ能力を要件としている。他国との関係を持つ能力すなわち独立した外交能力を有して初めて主権国家としての地位が認められる。外交能力の独立性を欠けば、主権を制限された不完全なアクターにとどまる。
国家の「権原」には何があるの?
国際関係の中での国家の領域を考える時、最も基本となるのは領土である。領水は領土に、領空は領土と領水に付随するからである。国家が自国の領域における排他的な管轄権を有すること、すなわち、領域主権において最も基本的なものは領土に対する権原(title)である。国家がある土地に対する領有権を取得するのに必要な法律上の根拠を権原と言う。
権原には、先占、時効、割譲、併合、征服、添付の6 つがある。
「先占」は国際法的にいずれの国にも属していない土地である「無主の土地」に対して国家による領有の意思表示と実効的な占有を行い、自国の領域に編入することである。領有の意思表示は無主の土地を自国に編入するための立法措置や行政措置、宣言、公の地図上の掲示等によって行われる。
「時効」は、「他国の領域である土地」もしくは「領有の帰属が不明な土地」をある国が長期にわたり領有の意志表示をもって平穏に実効的に占有し続け、長期にわたる占有が黙認されることで、ある国がその土地に対する領有権を確立することである。国家によるある土地に対する領有権の得喪に関わる時効については、時効の完成に必要な特定の期間は定められているわけではない。
「割譲」とは、国家の領土の一部を国家間の合意により他国へ譲渡することで、譲渡された国がその土地に対する領有権を得ることである。「併合」とは、国家の領土の全部を国家間の合意により他国へ譲渡することで、譲渡された国がその土地に対する領有権を得ることであり、また、被併合国が国家として存続しなくなることである。「征服」とは、ある国家が別の国家を武力で屈服させることによって、屈服させられた国家の全領域を自国の領域とすることである。「添付」とは、隆起等の自然現象で領土が増えることであるとともに、海岸の埋め立て等の人工的な添付も認められている。(以下、本文つづく)