あとがきたちよみ 本たちの周辺

あとがきたちよみ
『ちょっと気になる医療と介護 第3版』

 
あとがき、はしがき、はじめに、おわりに、解説などのページをご紹介します。気軽にページをめくる感覚で、ぜひ本の雰囲気を感じてください。目次などの概要は「書誌情報」からもご覧いただけます。
 
 
権丈善一 著
『ちょっと気になる医療と介護 第3版』

「第3 版について」(pdfファイルへのリンク)〉
〈目次・書誌情報・オンライン書店へのリンクはこちら〉
 
 


第3 版について
 
 2017 年に初版,2018 増補版と続いた『ちょっと気になる医療と介護』の重版出来の話が届いたので,第3 版にすることにしました.というのも,その本にあった「第16 章 手にした学問が異なれば答えが変わる」という一つの章は,2018 年刊行の『ちょっと気になる政策思想』(2020 年に第2 版刊行)に発展したりと,様子が進展したからです.状況も大きく変わってきました.当時立ち上がったばかりの地域医療連携推進法人は,現実に動いている制度へと発展し,新型コロナウイルスを機に,2013 年の「社会保障制度改革国民会議」で示されていた改革の方向性──病院完結型の治す医療から地域完結型の治し支える医療へなど──の正しさが再確認されるようになりました.したがって,あの国民会議のことを,おそらく世の中で最も詳しく書いていた本書の価値も高まり,それが重版出来へとつながっていったのかもしれません.
 『ちょっと気になる医療と介護』は,第1 章に「働くことの意味とサービス経済の意味」を置いて,サービスの生産性なる言葉に混乱と間違いがあるために,経済政策のあり方が歪められていることを書いていました.当時は,医療・介護の本なのに,なぜそうした章からはじまるのかと訝しがられる感もありましたが,その後,「生産性」という言葉を巡って,成長戦略などの中でも世の中の議論が盛り上がっていき,第1 章の価値が見直されるようになっていきました.たとえば,岸田内閣が立ち上げた全世代型社会保障構築会議の下に公的価格評価検討会などが作られ,委員になった僕がそこで話していたことは,会議に参加していた人や議事録を読んだ人たちからは相当に新しくかつおもしろく聞こえたらしいけど,そうした話は,アダム・スミスからはじまる第1 章がベースだったわけです.
 この第3 版では3 つの章を加えています.「第15 章 生産性の考え方と福祉分野で留意すべきこと」(対談),「第16 章 プライマリ・ケアって何?」(鼎談),「第17 章 地域医療連携推進法人って何?」(鼎談)です.頁数節約のために,初版,増補版の「はじめに」「おわりに」,そしていくつかの知識補給は外しています.それでも,厚くなってしまいまして.まっ,いいか.
 
 おっとそうそう.第3 版でなくした章にあった知識補給の中には,残しておいたものがありますので,ここに紹介しておきます.

知識補給 社会保障・税一体改革──世間の無理解さって,なんだかねぇ…… 338 頁へ

 初版の出版から6 年を超え,この第3 版は,昔のことも今のことも詳しい本になっています.未来のよりよい医療と介護のために,是非ご一読頂ければ……なんてね.
 では,よほどお手すきの時にでも,ご笑覧を!
 

 
 
banner_atogakitachiyomi