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『民法 第11版』

 
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我妻 榮・良永和隆 著/遠藤 浩 補訂
『民法 第11版』

「第一一版改訂にあたって」(pdfファイルへのリンク)〉
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第一一版改訂にあたって
 
 第一〇版の刊行から五年が経過したが、この間も民法や民法に関連する分野で重要な法改正が続いている。特に平成三○年、令和三年、令和四年の改正が重要であり、民法の入門書・概説書である本書でも取り上げるべき内容のものが多い(なお、親子法制に関する令和四年改正は令和六年四月一日に施行される)。そこで、これらの改正を反映させ、三五項目もの改正点につき書き換えや追加での説明をした。
 また、全国の多くの大学や教育機関等で本書を教科書として採用していただいているようであるが、私も毎年、民法入門や経済学部・商学部など法学部以外での民法の教科書として使用してきて、教科書として使いづらいと感じたり、省略せずに説明したほうがよいと思う事項などがあったので、今回の改訂の機会に、教科書としてより使いやすいものとなるように、大幅に手を入れた(具体的にいえば、二七項目を追加したほか、旧版で取り上げていなかったカフェー丸玉女給事件・鷹ノ湯温泉事件・雲州みかん事件など代表的な判例も追加指摘した)。
 他方、こうした追加により全体のページ数が大幅に増加してしまうことになるため、ADR、医療水準論、農地法の小作料、家事事件手続法の概要、平成八年の民法改正要綱など一三項目の説明を削除するなどした。その結果、約二〇ページ増で押さえることができた。
 今回の改訂においても、我妻榮先生の原著の工夫や執筆方針(そしてその精神)を維持することを心がけた。最新の内容となった本書が、民法の概要を学ぼうとする初学者にも、すでに一通りの学習をしてきた中級者や上級者にも、いずれの読者にも役立つものとなっていれば幸いである。
 ところで、今年は、我妻榮先生の没後五〇年にあたり(命日は一〇月二一日)、先生の生家がある山形県米沢市では、記念式典や先生の銅像除幕式など我妻榮記念館を中心にさまざまな記念行事が催される旨、矢尾板操館長からご連絡いただいているが、この記念すべき命日にあたり本書を刊行できる運びとなったこともありがたく感じている。
 私が本書の改訂をお引き受けしてからもう二十年近くにもなるが、当初から勁草書房編集部の竹田康夫氏にはたいへんお世話になっている。今回の改訂でも、多くの有益な助言や提案をいただいた。心から感謝申し上げたい。
 
令和五年 九月二六日  緑寿を迎えて
良永和隆
 
 
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