Book Review
『アザー・オリンピアンズ――排除と混迷の性別確認検査導入史』
わからない、というのは不安なことだ。自分が依って立つ価値観が揺さぶられ、馴染みのない世界に放り出され、ともすれば身体的な恐怖にすら結びつく。不安を解消するためわかりやすさを求める。往々にしてそれは理解からは程遠く、社会性動物として仲間を得て安心するための日和見や処世術にすぎない。……
わからない、というのは不安なことだ。自分が依って立つ価値観が揺さぶられ、馴染みのない世界に放り出され、ともすれば身体的な恐怖にすら結びつく。不安を解消するためわかりやすさを求める。往々にしてそれは理解からは程遠く、社会性動物として仲間を得て安心するための日和見や処世術にすぎない。……
「はしがき」「第4章・第9章・第10章」「あとがき」「解説」(抜粋)を公開しました。
カール・シュミットは『政治神学』の冒頭で、「主権者とは、例外事態(Ausnahmezustand)について決定する者である」と断言する。Ausnahmezustandは、非常事態と訳されることもある。 引き続いてシュミットは、主権概念は限界概念(Grenzbegriff)であるとする。限界概念とは、比喩的に言えば、遠近法の消失点である。われわれが暮らす、この世界だけが実在する世界だと思われている日常的な世界と、そんなものが存在するとは思ってもみなかった、尋常ではない外側の世界とを連絡する概念である。……
レオ・シュトラウスは、クルト・リーツラーの思想に関する記念講演で、マルティン・ハイデガーについて次のように語っている。 [ハイデガーと]同じ程度にドイツの、いやヨーロッパの思想に影響を与えた哲学教授を見出そうとすれば、ヘーゲルまで遡る必要がある。それでもヘーゲルの同時代には、ヘーゲルと並ぶ、少なくとも明白な愚かしさに陥ることなく、彼と比較し得る哲学者がいた。……
「あとがき」ページを公開しました。