主権者

憲法学の散歩道
第48回 potestasとpotentia

 立憲主義(constitutionalism)は、政治権力を憲法によって制限する。その場合の憲法は、憲法典というまとまった法典の姿形をしているとは限らない。イギリスに憲法典はないが、それでも立憲主義国家である。  立憲主義は、統治者の権限(potestas)を制限する。統治者にとっては、邪魔で余計な制限であるように見えるであろう。できることなら、憲法を無理やり変えてでも制限をかなぐり捨てたいと思うのではなかろうか。……

憲法学の散歩道
第34回 例外事態について決定する者

 カール・シュミットは『政治神学』の冒頭で、「主権者とは、例外事態(Ausnahmezustand)について決定する者である」と断言する。Ausnahmezustandは、非常事態と訳されることもある。  引き続いてシュミットは、主権概念は限界概念(Grenzbegriff)であるとする。限界概念とは、比喩的に言えば、遠近法の消失点である。われわれが暮らす、この世界だけが実在する世界だと思われている日常的な世界と、そんなものが存在するとは思ってもみなかった、尋常ではない外側の世界とを連絡する概念である。……

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