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新着記事2024-04-16T22:14:11+09:00

憲法学の散歩道
第45回 憧れるのはやめましょう──『虞美人草』とミメーシス

 夏目漱石『虞美人草』のヒロイン甲野藤尾は、24歳ながら、恋の駆け引きに長じている。彼女の英語の家庭教師を務める、恩賜の銀時計を得た文学士、小野清三を手玉にとる。 「愛の神は今が盛(さかり)である。緑濃き黒髪を婆娑とさばいて春風に織る羅(うすもの)を、蜘蛛の囲(い)と五彩の軒に懸けて、自(みずから)と引き掛る男を待つ。引き掛った男は夜光の璧を迷宮に尋ねて、紫に輝やく糸の十字万字に、魂を逆にして、後の世までの心を乱す。女はただ心地よげに見遣る*1。」  ある日の夕刻、藤尾は兄、そして兄の友人、宗近一とともに、不忍池の周辺で催された博覧会に出掛ける。たまたま見掛けたのが、かつて京都で世話になった井上父娘を博覧会見物へ案内する小野だった。漱石は、井上小夜子の美貌を描く。

By |2025/12/2|連載・読み物, 憲法学の散歩道|

コヨーテ歩き撮り#238

1891年、震度7の大地震が発生。土地に6メートルのずれが発生した。これが根尾谷断層。まのあたりにして息を呑む。岐阜県本巣市の地震断層観察館にて。 In 1891, a major earthquake of seismic intensity 7 struck. This caused the land shift by six meters. The Neodani Fault. Witnessing it firsthand takes your breath away. At the Earthquake Fault Observation Museum in Motosu, Gifu.

By |2025/11/17|連載・読み物, コヨーテ歩き撮り|

Book Review
『アザー・オリンピアンズ――排除と混迷の性別確認検査導入史』

 わからない、というのは不安なことだ。自分が依って立つ価値観が揺さぶられ、馴染みのない世界に放り出され、ともすれば身体的な恐怖にすら結びつく。不安を解消するためわかりやすさを求める。往々にしてそれは理解からは程遠く、社会性動物として仲間を得て安心するための日和見や処世術にすぎない。……

By |2025/10/27|Book Review, 本たちの周辺|
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