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新着記事2024-04-16T22:14:11+09:00

コヨーテ歩き撮り#189

この巨大な彫刻を見るとみんなが笑う。笑うときには、さくらんぼの甘みとスプーンの感触を思い出している。ミネアポリス。 On seeing this huge work of art, everybody bursts out laughing. And when they laugh, the sweetness of cherry and the feel of spoon are already in their mouth. In Minneapolis.

By |2023/11/6|連載・読み物, コヨーテ歩き撮り|

掌の美術論
第9回 美術史におけるさまざまな触覚論と、ドゥルーズによるその創造的受容(後編)

この連載では数回にわたり、美術史家における「触覚」をめぐる著述を紹介している。前回の記事から取り組んでいるのが次のような問いだ。すなわち、芸術理論が作品分析という実践に移されたときに、どのように特定の概念はオリジナルの意味からずらされていくのだろうか。具体例として扱っているのは、ジル・ドゥルーズの『フランシス・ベーコン 感覚の論理学』(1981年)である。

By |2023/10/26|連載・読み物, 掌の美術論|

【寄稿◎遠藤比呂通】
金顕球先生にティリッヒを学ぶ――『人権という幻』と『国家とは何か、或いは人間について』のあとがきから

 「執拗低音(basso ostinato)」というのは、丸山眞男が日本の思想について使った表現で、もともとは音楽用語です。丸山は、日本の思想の固有性は、ある思想(たとえば「キリシタンの教え」=主旋律)を「輸入」する際に生じる独特な変化(たとえば「ドチリイナ・キシリシタン」では「神に背く自由を通じて神の愛に至る」ディアレクティークが理解されていない=執拗低音)をみることで明らかになると考えました……

By |2023/10/18|本たちの周辺|

夢をかなえるための『アントレプレナーシップ』入門
㉕起業家教育が目指すこと(1)

起業家教育は起業活動を活発にするために、また、起業家に対する評価を高めるために必要なものです。では、起業家教育とはどのようなものでしょうか。今回は、起業家教育が期待を裏切ってしまうような結果に終わるのはなぜか、求められる起業家教育とは何か、を考えていきます。

憲法学の散歩道
第35回 フーゴー・グロティウスの正戦論

 グロティウスは1583年、オランダのデルフトの名家に生まれた。若くして才能を開花させたグロティウスは、11歳でライデン大学に入学し、1598年にはフランスへの外交使節に加わって、オルレアン大学から法学博士号を授与されている。  当時のオランダは、1568年に始まったスペインに対する独立戦争のさなかにあった。スペインとの休戦は1609年に実現したが、独立が正式に承認されたのは1648年のウェストファリア条約でのことである。  1603年、シンガポールでポルトガルの交易船サンタ・カタリーナがオランダの商船団の攻撃を受け、戦利品としてアムステルダムに曳航された。船と積荷は競売に附され、東インド会社に当時のイングランド政府の国家予算に匹敵すると言われるほどの莫大な利益をもたらした。東インド会社は、若きグロティウスに、会社の行動の合法性と正当性に関する意見書の作成を依頼した。  当時のオランダは、スペインに対する独立戦争を遂行する一方、ポルトガルに対抗して東インド交易に参入しようとしていた(当時スペインとポルトガルは、スペイン国王がポルトガル国王を兼ねる同君連合の状態にあった)。絹織物、陶器、胡椒類等の交易は莫大な富をもたらした。……

By |2023/10/3|連載・読み物, 憲法学の散歩道|

ごはんをつくる場所には音楽が鳴っていた――人生の欠片、音と食のレシピ〈19皿め〉

パリ生活15年目くらいだったか、ようやくアパート暮らしからの脱出となりモントルイユというパリ郊外の街で、大家さんの離れの小さな一軒家を借りることになった。 引っ越しが終わった翌朝、ものすごい音で目が覚めれば中庭挟んだ大家さんの、豪奢ではないが19世紀特有の丈夫な家半分が崩れた。家自体の問題ではなく、隣接した建設中マンションの地下駐車場の掘削作業のためだ。 それから何ヶ月も立ち入り禁止となったからにはノマッド人生再開である。

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