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新着記事2024-04-16T22:14:11+09:00

掌の美術論
第8回 美術史におけるさまざまな触覚論と、ドゥルーズによるその創造的受容(前編)

今回と次回の記事では、ドゥルーズの美術論における「触覚」の議論を取りあげたい。ドゥルーズは、前回の記事で触れたリーグルの『末期ローマの美術工芸』(1901年)における触覚論の革新性に注目した人物のうちの一人である。1981年に出版された彼の『フランシス・ベーコン 感覚の論理学』(図1)を読むと、何よりも驚かされたのは、第14章「それぞれの画家が自分なりの方法で絵画史を要約する」以降の、アクロバティックなロジックの展開である。

By |2023/9/12|連載・読み物, 掌の美術論|

横澤一彦監修『シリーズ統合的認知』
全巻刊行記念 監修者によるブックガイド

2015年11月に刊行された『注意』からはじまった『シリーズ統合的認知』は、2023年8月の『感覚融合認知』をもって無事に全巻が刊行されました。要素還元的な脳機能の理解には限界があり、人間の行動を統合的に理解することが必要であるという視点でスタートした本シリーズは、認知心理学の王道ともいえる研究テーマや近年の研究蓄積が著しいテーマについて、それぞれの分野を代表する先生方にご執筆いただいたものです。 シリーズ全体の概要については各巻頭に収録されておりますが、完結を記念し、監修者の横澤一彦先生に全体を俯瞰する解説を改めてご執筆いただきました。脳の中にとどまらない広大な認知心理学のフィールドを探索する道しるべとして、本シリーズをぜひご活用ください。【編集部】

By |2023/9/8|本たちの周辺|

掌の美術論
第7回 リーグルの美術論における対象との距離と触覚的平面

美術史家による観察において、視覚が重要な感覚となることは言うまでもないが、触覚についてはどうなのだろう、と、ふと疑問に思い、この連載では第5回目の記事から19世紀末に遡って美術史家の著述における触覚についての記述を再読している。すると、「触覚」が意味する感覚の、意外なまでのヴァリエーションに、戸惑いを感じることがある。

By |2023/8/18|連載・読み物, 掌の美術論|
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