ごはんをつくる場所には音楽が鳴っていた――人生の欠片、音と食のレシピ〈6皿め〉
パリ19区。
この区の西と北は、移民が多く住む地域とされている。
同区東の方にあるビュット・ショーモン公園を囲む地域はボボ(プチブル)が住み、早朝週末はジョギングに精を出すパリジャンの姿。
パリ生活の時間の多くはこの移民街で過ごすわけで、道端では、紋切り型な言い方になるが多言語が飛び交い、軒を連ねるハラルの店では羊の頭の丸焼きが並ぶ。母国、北アフリカやサハラ以南の地域に送るダンボール箱が積まれた運送屋や、色鮮やかな生地が積まれた仕立て屋。
これがわたしにとってのパリの日常だ。