小倉ヒラク

小倉ヒラク

おぐら・ひらく  発酵デザイナー。下北沢『発酵デパートメント』オーナー。YBSラジオ『発酵兄妹のCOZY TALK』パーソナリティ。著書『手前みそのうた』(農山漁村文化協会、2014)、『発酵文化人類学』(角川文庫、2020)『日本発酵紀行』(D&DEPARTMENT PROJECT、2019)など。写真集に『発酵する日本』(Aoyama Book Cultivation、2020)。山梨県の山の中で日々菌を育てながら暮らしています。

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燃えよ本[第4回]「たまたま」のレトロスペクティブ ③ 「人は意味なしで生きていけるか?」とクンデラは問うた

燃えよ本 6月 14日. 2021

 「われわれがすでに一度体験されたことが何もかももう一度繰り返される」というニーチェの永劫回帰の概念の引用からこの物語は始まる。もしすべてのことが永久に繰りかえされるとしたら、自分のひとつの行動の責任の重さは限りなく重くなる。つまり永劫回帰を生きるのはすべてが意味を持つ「重い」人生だ。反対に自分の人生が一回限りであるならばどんなに悲しみや喜びを感じたとしても、それはすぐに立ち消えてしまう。どんなに重大に感じることでもそれは一回限りの意味がない「軽い」人生だ。

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燃えよ本[第3回]「たまたま」のレトロスペクティブ ② スペンサーは本当に弱肉強食を唱えたのか?

燃えよ本 5月 24日. 2021

ダーウィンが発表した『種の起源』は、キリスト教世界の根幹を揺るがした。しかし時代は19世紀後半、まだ遺伝子はじめ分子学的な生命の仕組みが解明されていなかったため、ダーウィンの進化論はさまざまな曲解を生んだ。中でも20世紀中盤まで炎上し続けたのが、進化論を人間社会に適用した「社会進化論」、人間個体に適用した「優生学」だ。

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燃えよ本[第2回]「たまたま」のレトロスペクティブ ① 粘着ダーウィン、意味を破壊する

燃えよ本 4月 26日. 2021

「あなたはすべての生物をつくった創造神について考えたことがありますか?」
 ある日、山梨の山の中の小さな集落にある僕の家までわざわざ訪ねてきた、キリスト教系新興宗教の勧誘のお姉さんが玄関でこんなことを僕に問いかけた。
「それはいろんな生物学者が考えてきたことで、そんなものはいない!というのがここ150年くらいに蓄積された定説です。僕はそれを支持します。」
と間髪入れずに返事をしたらお姉さんは「あ、ヘンなのに当たっちゃったな」という顔で、冊子だけ置いて足早に立ち去ってしまった。

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燃えよ本[第0回]ご挨拶

燃えよ本 3月 22日. 2021

本は燃えてきた。
 書く者は、燃えたぎる想いを一冊の本に託し、読む者の心を燃え立たせ、その火は社会を煽り、民衆は立ち上がり権力者は怒り、本は焼き払われ、ときには書いた者、読んだ者すら焼き殺された。

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