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ウェブ連載版『最新判例にみるインターネット上の名誉毀損の理論と実務』 連載・読み物

ウェブ連載版『最新判例にみるインターネット上の名誉毀損の理論と実務』第19回

7月 07日, 2016 松尾剛行

 
(注1)Lessig, Lawrence. “The New Chicago School.” The Journal of Legal Studies 27, no. S2 (1998): 661-91.
(注2)アーキテクチャに関する先行文献としては、情報法ではなく情報社会学的観点からのものとして濱野智史『アーキテクチャの生態系』(NTT出版、初版、2008)があり、また、小倉一志『サイバースペースと表現の自由』(尚学社、初版、2007)もコード論を参照しながらネット上の表現の自由についていて論じている。
(注3)音楽CDから音楽がコピーされ、インターネット上で広まる状況を懸念した音楽業界が開発した、オーディオ機器では再生できるがパソコン等への複製・取込等が困難なメディア媒体。
(注4)『最新判例にみるインターネット上の名誉毀損の理論と実務』204~205頁。
(注5)(人権規定が公権力と国民との関係を規律するものであることを前提としつつ、)(i)公権力が、私人の私的行為にきわめて重要な程度にまでかかわり合いになった場合、または(ii)私人が、国の行為に準ずるような高度に公的な機能を行使している場合に、等が意思的行為を国家行為と同視して、憲法を直接適用するという理論(芦部信喜『憲法』(第6版、岩波書店、2015)117頁)。
(注6)たとえば、長谷部恭男『憲法』(第6版、新世社、2014)131〜132頁参照。
(注7)成原慧『表現の自由とアーキテクチャ』(初版、勁草書房、2016)85~87頁、134頁等参照。
(注8)See e.g., Parker v. Google, Inc. 422 F.Supp.2d 492(2006).
(注9)See e.g., Search King, Inc. v. Google Technology, Inc., 2003 U.S. Dist. LEXIS 27193.
(注10)なお、米国の判例では、表現の自由とプライバシーが争われた場合に表現の自由の価値が優先される傾向があり、特に、The Florida Star
v. B. J. F., 491 U.S. 524 (1989) 等で示されたように、表現の自由が真実である公開情報の削除を求める利益に優越すると考えられてきたという点も重要な理由の一つと思われる。
(注11)Case C-131/12, Google Spain SL, Google Inc. v. AEPD, Mario Costeja González(May 13, 2014).
(注12)東京地決平成26年10月9日(検索結果の削除を認めた)については奥田喜道『ネット社会と忘れられる権利』(現代人文社、初版、2015)112頁以下、東京地決平成27年5月8日(専門職が専門職を規律する法令に違反した9年前の逮捕記事の削除が認められる)については奥田前掲・114頁以下、東京地判平成25年5月30日・東京高判平成25年10月30日(検索エンジンがウェブページの内容を確認した上で検索結果を表示している訳ではないことを重視し、削除請求を否定)については奥田前掲・129頁以下、東京高決平成28年7月7日については田中芳樹「事業者代理人からみた検索結果削除判例の分析と現状」Law&Technology72号47頁をそれぞれ参照のこと。なお、「忘れられる権利」については、宮下紘『プライバシー権の復権』(中央大学出版部、初版、2015)221頁以下および宮下紘「忘れられる権利と検索エンジンの法的責任」比較法雑誌50巻1号(2016)が詳しい。
(注13)中川敏宏「検索結果の表示に対する検索サイト運営者の責任」法学セミナー2016年3月号参照。
(注14)神田知宏「さいたま地裁平成27年12月22日決定における「忘れられる権利」の考察」Law&Technology72号41頁参照。
(注15)『最新判例によるインターネット上の名誉毀損の理論と実務』220頁以下。
(注16)Jonathan Zittrain著、成原慧、酒井麻千子、生貝直人、工藤郁子訳「オンライン上のゲートキーピングの歴史(1)〜(3)」知的財産法政策学研究28巻117頁、29巻117頁、30巻93頁。
(注17)プライバシー・バイ・デザインについては、アン・カブキアン(著)、堀部政男=一般財団法人 日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)(編)、JIPDEC(訳)『プライバシー・バイ・デザイン』(日経BP社、2012年)参照。
(注18)『最新判例にみるインターネット上の名誉毀損の理論と実務』9頁、29頁以下。
(注19)『最新判例にみるインターネット上の名誉毀損の理論と実務』271頁以下。
(注20)もっとも、警告を超え、アーキテクチャによる事前抑制ないし検閲ともみなされる対応を行うという場合、表現の自由との関係で更に慎重な検討が必要であろう。
(注21)http://wired.jp/2016/03/25/tay-tweet-microsoft/
 

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時に激しく対立する「名誉毀損」と「表現の自由」。どこまでがセーフでどこからがアウトなのか、2008年以降の膨大な裁判例を収集・分類・分析したうえで、実務での判断基準、メディア媒体毎の特徴、法律上の要件、紛争類型毎の相違等を、想定事例に落とし込んで、わかりやすく解説する。
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松尾剛行

About The Author

まつお・たかゆき 弁護士(第一東京弁護士会、60期)、ニューヨーク州弁護士、情報セキュリティスペシャリスト。平成18年、東京大学法学部卒業。平成19年、司法研修所修了、桃尾・松尾・難波法律事務所入所(今に至る)。平成25年、ハーバードロースクール卒業(LL.M.)。主な著書に、『最新判例にみるインターネット上の名誉毀損の理論と実務』(平成28年)、『金融機関における個人情報保護の実務』(共編著)(平成28年)、『クラウド情報管理の法律実務』(平成28年)、企業情報管理実務研究会編『Q&A企業の情報管理の実務』(共著)(平成20年)ほか。