道徳

憲法学の散歩道
第24回 道徳と自己利益の間

 ジョゼフ・ラズはイスラエルの出身である。H.L.A. ハートの指導の下、博士号を取得してオクスフォード大学で長く法哲学を教え、現在はコロンビア大学とロンドン大学キングズ・コレッジの教授を務めている。2018年には、東洋のノーベル賞とも言われる唐奨(Tang Prize)の「法の支配」部門を受賞した。  彼に「道徳と自己利益」という論稿がある。彼の論稿の多くがそうであるように、かなり屈曲した議論が展開されている。結論は、おそらく、多くの人にとって意外なものである。……

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第21回 道徳対倫理──カントを読むヘーゲル

お待たせしました、「憲法学の散歩道」再開です。これまでの連載は書き下ろし2編を加えて『神と自然と憲法と――憲法学の散歩道』と題し、装い新たに単行本となります。来る11月15日発売、どうぞお楽しみに。[編集部]

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第14回 価値多元論の行方

 政治思想史家のアイザィア・バーリンは、価値多元論者として知られる。価値多元論(value pluralism)は、価値一元論(value monism)と対置される。  価値一元論は、いくつかの主張によって構成される。第一に、あらゆる道徳問題には、唯一の正解がある。第二に、正解へ行き着く途は発見可能である。第三に、すべての正解は相互に両立可能であり、ジグソーパズルのように、全体として整合する。……

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