批評

虚構世界はなぜ必要か? SFアニメ「超」考察
第5回 冥界としてのインターネット 「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」と「serial experiments lain」(2)

「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」では、情報空間から物理空間へと、たんなるプログラムからゴーストへと、あちら側からこちら側へと、境を超越する存在である人形使いと、物理空間から情報空間の方へと、人間から機械の方へと、こちら側からあちら側の方へと、境に向かって進んでゆく存在である草薙素子との、中間地点での邂逅と融合が描かれました。つまり、二つ世界の接点から、一つの新たな存在の様態が生まれました。……

虚構世界はなぜ必要か? SFアニメ「超」考察
第4回 冥界としてのインターネット 「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」と「serial experiments lain」(1)

日本においてインターネットが一般化した90年代後半に、ネットを題材とした対照的とも言える二つの作品が生まれました。「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」(1995年)と、「serial experiments lain(シリアル エクスペリメンツ レイン)」(1998年)です。これはどちらも、インターネット(ネットワーク)そのものを一種の冥界(竜宮城)と見立てた作品だと言えると思います。

虚構世界はなぜ必要か? SFアニメ「超」考察
第3回 ネットもスマホもなかった世界から遠く離れて

まだインターネットのない世界の物語「うる星やつら2 ビューティフルドリーマー」と、インターネット以降の2作品『涼宮ハルヒの憂鬱』「エンドレスエイト」、劇場版『叛逆の物語』を含めた『魔法少女まどか☆マギカ』を比較して、インターネットの有無が物語のありようにどのように影響しているかを考えます。

虚構世界はなぜ必要か? SFアニメ「超」考察
第2回 はじめに(2)「たんなるリアル」を開く技術

ここで考えようとしているのは「フィクションはなぜ必要か」ということです。つまり、フィクションというもの一般が問題であり、作家論でも作品論でも、特定のメディアに関する表現論や歴史でもなく、物語の類型やその発展形を探るということでもありません。……

虚構世界はなぜ必要か? SFアニメ「超」考察
第1回 はじめに(1)フィクションの価値低下のなかでフィクションを問うこと

インターネットに代表されるこの20年の技術の進展は、生活環境を大幅に改変し、これまで以上にわれわれの身の回りは技術に「侵食」されつつあります。そうした状況では、一見するとフィクションが成立しにくくなっているように思われます。はたして、いま、フィクションは必要とされているのでしょうか。必要とされるのであれば、なぜ必要とされるのでしょうか。本連載では、この大きな問いに、SFアニメという軸を設けて深く考えていきます。2010年代の「フィクション論」はじまります。

Go to Top