連載・読み物

掌の美術論
第8回 美術史におけるさまざまな触覚論と、ドゥルーズによるその創造的受容(前編)

今回と次回の記事では、ドゥルーズの美術論における「触覚」の議論を取りあげたい。ドゥルーズは、前回の記事で触れたリーグルの『末期ローマの美術工芸』(1901年)における触覚論の革新性に注目した人物のうちの一人である。1981年に出版された彼の『フランシス・ベーコン 感覚の論理学』(図1)を読むと、何よりも驚かされたのは、第14章「それぞれの画家が自分なりの方法で絵画史を要約する」以降の、アクロバティックなロジックの展開である。

By |2023-10-22T15:53:46+09:002023/9/12|連載・読み物, 掌の美術論|

掌の美術論
第7回 リーグルの美術論における対象との距離と触覚的平面

美術史家による観察において、視覚が重要な感覚となることは言うまでもないが、触覚についてはどうなのだろう、と、ふと疑問に思い、この連載では第5回目の記事から19世紀末に遡って美術史家の著述における触覚についての記述を再読している。すると、「触覚」が意味する感覚の、意外なまでのヴァリエーションに、戸惑いを感じることがある。

By |2023-10-22T15:46:29+09:002023/8/18|連載・読み物, 掌の美術論|

憲法学の散歩道
第34回 例外事態について決定する者

 カール・シュミットは『政治神学』の冒頭で、「主権者とは、例外事態(Ausnahmezustand)について決定する者である」と断言する。Ausnahmezustandは、非常事態と訳されることもある。  引き続いてシュミットは、主権概念は限界概念(Grenzbegriff)であるとする。限界概念とは、比喩的に言えば、遠近法の消失点である。われわれが暮らす、この世界だけが実在する世界だと思われている日常的な世界と、そんなものが存在するとは思ってもみなかった、尋常ではない外側の世界とを連絡する概念である。……

夢をかなえるための『アントレプレナーシップ』入門
㉔アントレプレナーの資金調達(5)

直接金融の中でも新株発行による資金調達には、それに伴う落とし穴があります。それは発行済み株式の希薄化(dilution)です。今回は実話をもとに「希薄化」の実際に迫ります。

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