掌の美術論 第22回
働く手(前編)――仕事中を演じる
あ、この人こんなふうに笑うんだ、と、ミニマリズムの彫刻家ロバート・モリス(第11回・第12回記事参照)についての1995年の解説映像『ロバート・モリス 心/身問題』に登場する、美術批評家ロザリンド・クラウスを見て思った。クラウスはこの映像の中で始終かしこまって教壇から解説するのだが、威圧的な教授たらんと装う最中、映像を投影するスクリーンとして使用していた、教壇に貼り付けられたボール紙が剥がれ落ちて、ふふっと笑ってしまう。……