0 0 憲法学の散歩道 12月 14日, 2021 長谷部恭男 憲法学の散歩道第23回 思想の力──ルイス・ネイミア 『神と自然と憲法と』第18章で紹介したように、ジョン・メイナード・ケインズは、世界を支配するのは思想であるとし、それに比べて既得権益の影響は誇張されているとする。これと対蹠的な観点に立つのが、歴史家のルイス・ネイミアである。ネイミアによると、思想や原理と言われるものはすべて、人間の真の動機を覆い隠すためのイデオロギーにすぎない。歴史を動かすものは、別にある。…… 続きを読む
0 0 憲法学の散歩道 11月 16日, 2021 長谷部恭男 憲法学の散歩道第22回 未来に立ち向かう──フランク・ラムジーの哲学 フランク・ラムジーは1903年2月22日に生まれ、1930年1月19日、26歳で死去した。死因はレプトスピラ菌(leptospire)の感染による多臓器不全であると推測されている。父親のアーサー・ラムジーは、ケンブリッジ大学モードリン・コレッジで数学を教え、副学寮長(President)も務めた。フランクの弟マイケルは、1961年に第100代のカンタベリー大司教となった。妹のマーガレットは、オクスフォード大学で経済学を教えた。…… 続きを読む
0 0 憲法学の散歩道 10月 15日, 2021 長谷部恭男 憲法学の散歩道第21回 道徳対倫理──カントを読むヘーゲル お待たせしました、「憲法学の散歩道」再開です。これまでの連載は書き下ろし2編を加えて『神と自然と憲法と――憲法学の散歩道』と題し、装い新たに単行本となります。来る11月15日発売、どうぞお楽しみに。[編集部] 続きを読む
4 0 憲法学の散歩道 5月 25日, 2021 長谷部恭男 憲法学の散歩道第20回 『法の概念』が生まれるまで 法史学者のブライアン・シンプソン(Alfred William Brian Simpson)は、1931年にイギリス国教会の牧師の末っ子として生まれた。1951年、オクスフォードのクィーンズ・コレッジに入り、法学を学んだ。1955年から73年まで、リンカーン・コレッジのフェロウを務める。その後、ケント大学教授、ミシガン大学教授等を歴任する。逝去したのは、2011年である。 シンプソンの没後に刊行された著書に『『法の概念』に関する考察』がある。…… 続きを読む
3 0 憲法学の散歩道 4月 27日, 2021 長谷部恭男 憲法学の散歩道第19回 共和国の諸法律により承認された基本原理 フランスの違憲審査機関である憲法院(Conseil constitutionnel)の1958年の創設から1986年にいたるまでの主要な決定の評議の記録が本としてまとめられている*1。どの決定の評議録もすこぶる面白い(憲法学者でない方がお読みになって面白いかどうかは別の話である)。たとえば1971年7月16日の評議と決定は、憲法院の機能自体を根本的に変革したと言われる。…… 続きを読む