憲法学の散歩道
第15回 神の存在の証明と措定
神の存在に関する議論は、古来多い。スピノザの『エチカ』の冒頭部分に、神の存在証明がある。 スピノザによれば、神は「絶対的に無限のもの、つまり無数の属性によって構成される実体であり、その各属性が永遠にして無限の本質をあらわすもの」として定義される(1def6)。実体として定義された神には、存在することが本質として帰属する。いかなる実体といえども、他のものから産出されることはない(1p6c)。存在が他のものに依存することは実体の本質に反する(1def3)。存在することは、実体の本質である*2。存在することが神の本質であるとすると、存在することは神の属性でもある。属性とは、知性が実体につき、その本質を構成するものとして理解するものだからである(1def4)。……