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憲法学の散歩道 8月 01日, 2023 長谷部恭男

憲法学の散歩道
第34回 例外事態について決定する者

 カール・シュミットは『政治神学』の冒頭で、「主権者とは、例外事態(Ausnahmezustand)について決定する者である」と断言する。Ausnahmezustandは、非常事態と訳されることもある。
 引き続いてシュミットは、主権概念は限界概念(Grenzbegriff)であるとする。限界概念とは、比喩的に言えば、遠近法の消失点である。われわれが暮らす、この世界だけが実在する世界だと思われている日常的な世界と、そんなものが存在するとは思ってもみなかった、尋常ではない外側の世界とを連絡する概念である。……

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