虚構世界はなぜ必要か?SFアニメ「超」考察
第20回 人間不在の場所で生じる人間的経験/『けものフレンズ』
かばんは人間という種の特徴が個体化してギャラクター化された、人間という種のシミュレーションのような存在であるはずです。人間がいなくなった世界で生まれた、人間という形象のシミュレーション。この意味でかばんは、人間のもつ愛情を模倣したプログラムを搭載し、人類絶滅の後にAIの前でそれを演じてみせた、『A.I.』のアンドロイド、デイビッドに似ています。かばんもデイビッドも、「人間でもなく、人間でもなくもない」という二重の否定で表現されると言えます。